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15話




夢が何やら浮かない顔をしている。

俺としては妊娠疑惑も解決したし、罰と言う名目で夢に触れることができて気分が良かったが夢は違うようで様子がおかしい。


「おい…またお前ェ、なんか変だぞ」


「イヤ、ダイジョウブデス」


「片言になってンぞ。また隠し事するならまた罰あたえるぞォ」


寧ろあたえたいです。と、もう触ろうと実弥が近づくと夢も不味いと思い「待って!」と制止をかけた。


「ンだァ?」


どうしよう、でもまたあの罰をあたえられると身体がおかしくなってしまうかもしれない。
あの股がヌルヌルになるのは病気かもしれないと思っている夢は深刻そうに真剣な表情で実弥を見る。


昨日の夜も後ろから実弥に抱きしめられて、耳や首を舐められ、背中がぞくぞくして謎の感覚に耐えていると下腹部がズクンと反応している事に気づいた。
実弥の罰が終わってから厠に行くとやはり股がヌルヌルになっていて怖くなったが布団に戻ると夢を舐め回して満足した実弥はスヤスヤと気持ちよく寝ていていたので相談せずに大人しく寝たのだ。


実弥にも真剣さが伝わり動きを止めた。


「実弥くん、蝶屋敷に行ってくる」


「どうした?何処か体調悪いのかァ?」


「……病気かもしれない」


実弥は目を見開いて数秒固まって、それから焦って夢の両手を強く握る。

心臓は嫌な予感で早く鼓動し、ハッキリとドクンドクンと音が聞こえる。

夢の深刻な表情以外は一見、身体に異常は見受けられない。


「何処か痛むのか?」と聞けば違うと首を横に振る。
「じゃあ、なんだ、どうしたんだァ」と聞いても「身体が変なの」しか答えず、「とりあえず蝶屋敷に行きたい」と言う夢の要望に実弥は夢の身体を抱え上げた。


「歩けるから降ろして」と行っても実弥は降ろさず「しっかり捕まってろォ。痛かったらすぐ言え」と言い、抱えたまま家を飛び出し全速力で走り始める。


夢を抱えたまま凄い顔で走り抜ける実弥の姿は街中で目を引き、街にたまたまいた天元が話かけるも無視を決め込んだ為、気になった天元も着いてきた。


「おい!不死川どうしたんだよ!」


「煩ェ!今は夢の一大事なんだァ!」


凄い勢いで走るから夢は落ちないように実弥の首に腕を回して顔を埋めているので表情は天元には見えない。


「心配だから俺様も行くぜ」


大柄な男2人が女の子を抱えて走る姿はより注目を集め、更に途中、蜜璃の目にも止まり「心配だわ」と着いて来た。




「胡蝶いるかァ!!」


「しのぶちゃーん!!」


蝶屋敷に着くとしのぶの名前を呼ぶ。
天元は夢の顔を覗き込むとぐったりしていてこれは確かに具合が悪そうだと心配する。


「どうしんですか?皆さんお揃いで」


「夢が!病気かもしれねェって!診てくれェ!頼むっ!」


「病気?」と首を傾げたしのぶは焦る3人とは違い割りと落ち着いており「とりあえず診察室に来て下さい」と診察室に向かった。


診察室に着いて、椅子に座るように言うと実弥は夢を抱えたまま当たり前のように座った。


「不死川さ〜ん。夢さんを放して下さい。診れませんよ」


心配で心配で仕方がない実弥は夢を放したくなくて抱き締める腕に力が入る。


「実弥くん、大丈夫だから、降ろして」


しぶしぶ夢を椅子に降ろした実弥は後ろに下がった。
少し呆れた顔のしのぶは体温計を取り出し、熱を測るように渡す。


「うーん、熱は無いようですね。具体的にどんな症状があったんですか?」


「えっと…その…」


しのぶの質問に答えずらそうにしている夢に蜜璃が気を利かせ「私達は出ましょう」と2人に言うが実弥は「俺はここにいるゥ」と言うことを素直に聞いてくれないので天元と実弥を押さえつけて無理矢理、診察室から退場させた。

廊下からは実弥の「放せ!」や「夢」を呼ぶ声と2人が格闘している声が聞こえてきて夢は恥ずかしかった。


「話してくれますか?」


「えっと…身体が…溶けているかもしれないんです」


身体が溶ける?そんな病気聞いたことがない。血気術にでもかかってしまったのならあり得なくもない。


「身体のどこが溶けているんですか?」


「多分、身体の中?あの…股から何かヌルヌルしたモノが出てきちゃうんです」


「おりものや経血ではなくてですか?」


足をすり合わせモジモジしながら夢言う。


「違う、と思います…背中がぞくぞくしてきて、お腹の下が…なんか変な感じになって…そしたらヌルヌルになってるんです!」


場所が場所だけに恥ずかしいし、病気かもしれない不安で夢は涙目になっている。

正反対にしのぶはニコニコとしているが何か怖い。雰囲気がなんとなく変わった気がしたのだ。


「…それはいつ起こりましたか?」


「実弥く、えっと…耳とか、触られてるとだんだん身体がおかしくなって…いきました」


しのぶはなんとなく状況を察し、ため息を吐くと少し頭を押さえてから夢の名前を呼んだ。


「夢さん、子はどうやって出来るかご存知ですか?」


「う〜んと、凄く凄ーく深く愛し合うと子供が出来ると聞きました」


やはり、としのぶは思った。

夢は知らないのだ。具体的に男女がどういった交わりをすると子が出来るのかを。
このぐらいの年齢の女性でそれを知らずにいることはほとんど無いだろう。
それだけ夢が今まで他と関わらず、また実弥によって過保護に屋敷に閉まって余計な知識をつけさせないようにして生きてきたからだ。
だから、自分の身体に起きた変化がなんなのか分からなかったのだとしのぶは思う。
と、同時に実弥が今まで夢に手を出していなかった事にも驚いた。


「因みにお尋ねしますが、何故、身体が溶けていると思ったのですか?」


先ほどから訳が分からないと不思議な顔をしていた夢は「ナメクジに塩をかけるとヌルヌルした液を出して溶けて無くなるんだぜって昔、実弥くんが言ってたから…私も溶けてなくなるんじゃないかって」と言い、それを聞いたしのぶは声を上げて笑い出してしまった。


「ごめんなさいね、貴女があまりにも純粋なものだからつい。大丈夫、夢さんは病気なんかじゃないですよ」


何なのかは分からないが、病気じゃないと言われて夢は少し安心した。
何だったのか尋ねるが、それはきっといつか実弥が教えてくれると言うのだ。


「では、外で心配で気が狂いそうな不死川さんに説明してくるので少し待っていて下さいね」


そう言ってしのぶは診察室を出て行った。



end.




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