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10話



「夢、カワイイ」


「…えぇっ!?」




近頃の実弥はご機嫌だった。

あの布団離され事件後、夢は実弥が帰って来た事に気づくとたまに実弥の布団に自ら入って来るようになったのだ。
くんくんと匂いを嗅いでは「実弥くんだ〜」と言ったり「安心する」と言って嬉しそうな顔を見せて眠る。


今日はどうなんだ!?寄ってくるのか来ないのか!?


そんな楽しみが生まれてしまったので実弥は今日も速攻で鬼を退治して帰宅する。

その様子を不思議に思ってる隊士達に天元は「アイツ、一人でどれだけ鬼を早く退治してどれだけ早く帰宅できるか選手権やってるんだぜ?」なんて適当な事を言いふらしたおかげで風柱様はやっぱりちょっと…頭可笑しい人なんだと思われたり、お茶目な人なんだな。と隊士達の実弥を見る目が最近変わっていた。

そんな事は知る由もない実弥は、布団に入って夢が寄って来ない日は自分から行けばいいものを実弥はそれはせず、夢から来てもらうのをひたすら待つ。
我慢をすれば、来てくれた時の喜びが増すと己の烏に話してした。

前まで実弥の烏は、実弥がする夢の話を呆れてうんざりして聞いていたが最近では自分も愛でる対象ができたので共感できるようになり「分カル、カワイイ」と話を聞いてくれるようになったのだ。

飼い主に似ると言うのは本当のようで実弥の烏も実弥同様に一羽の雌を愛で、出来るだけ時間が許す限り寄り添うと言う執着を見せる。


さーて、やっと家に着いた!まず夢の顔を見に行くかと玄関の戸を引く。


「実弥くん!お帰りなさい!大変なのっ!」


「!?…どうしたっ!何があったァ!」


玄関には布団で寝ていると思っていた夢がいて実弥は驚く。
何か大変な事が!?自分のいない間に夢の身に何があった!?
夢の顔を、体をまじまじと見るがとりあえず怪我は無さそうだが…


「烏がね喋ったのっ!!」


「おォっ!?何て言ったんだァ?」


ついに言葉を話せるようになったか。案外早かったな。

玄関で待ってるから何か怖い目にあったのかと思い、勝手に夢に危害を加えた輩が頭を過り存在しない輩に青筋を浮かべてた実弥はほっとした。


「…夢、カワイイって」


「分かってンじゃねェか」


「実弥くん!恥ずかしいこと教えないでよぉ!」


「いや、教え込んではいねェんだが…」


「え、そ、そうなの?」


てっきり実弥が教え込んだものだと思った夢は暗くてわかりづらいが恥ずかしくて少し頬を赤らめていた。

実弥も実弥で教え込んでいないものの心当たりがあったので歯切れが悪い。


熱心に烏に言葉を教えている最中に掃除しているのか縁側をよく通っていく夢を見るたびに「可愛い、可愛い」と繰り返していたので、それを毎度聞いていた烏は自然とよく聞く「夢」と「カワイイ」を覚えたのだ。


「と、とにかく、来て!」


そういうと実弥を早く早くと引っ張り連れていく。
呑気な事に必死な姿も可愛いなぁと微笑ましく思う。

烏の所へやってくると実弥の烏もいて仲良さげに羽繕いをしている。

もう一度、話してもらいたくて実弥を引っ張ってきたが2羽の邪魔になりそうで気が引けてしまった。
立ち止まっている夢に実弥も「明日にすっかァ」と言って、「うん」と答えた夢の頭をポンポン撫でてから風呂に向かった。




風呂から上がった実弥は簡単に食事を済ませてから寝室に向かうと布団に入って夢は起きており、実弥が来たことに気づくと自分の布団に入って来てと言うように布団を捲った。


ついつい助平な事を考えてしまいゴクリと喉を鳴らす。
落ち着けー落ち着けー誘われてるわけじゃねェんだ。今、ここでまた欲望丸出しの目をしたら夢が怯えて避けられてしまうかもしれない。
己を必死で律して同じ布団に入ると自分の胸に頬を寄せて来たので今日は当たりの日だったか!と舞い上がる。


「実弥くんの身体は本当にどこも堅いねー」そう言いながら上目遣いで実弥の顔を見ながら身体に触れてきた。そして、割れた腹筋の凹凸を楽しむかのように触っていた手がだんだん登っていき胸に触れ出し、夢はただ好奇心で触っているのだろうが実弥としてはもう堪らなく、色めかしく身体を触られてるように感じて実弥の実弥は完璧に臨戦態勢に入ってしまった。
やっべェと、思っているうちに夢の手は実弥の乳首も擦ったもんだから「んっ」と声を上げてしまい、慌てて夢の手を掴んで止めさせた。


「男の身体をそんなに触るもんじゃねェ」


「嫌だった?」


嫌じゃないです。出来れば触ってほしいです!特に触ってほしい棒があります!なんて言えない言わない感情を押し殺し、「嫌じゃねェが、ダメなもンはダメだァ」と注意した。


「はーい、頬っぺただけは柔らかいよね」と笑顔で頬をつんつんされてその可愛い唇を己の唇で塞いでしまおうかと思ったがぎゅうっと身体を抱き締めることでなんとか耐えれた。

が、夢も実弥の身体に腕を回して抱きついて来て胸の柔らかい肉の感覚に流石に今日は不味い。このままではもう一人の自分が爆発してしまいそうなので「便所」と言って勃ち上がる膨らみを見られないようにして布団から抜け出し、臨戦態勢の実弥を落ち着かせに行った。


落ち着かせるにもなかなか落ち着いてくれず、慰めてもまたすぐ臨戦態勢に入ろうとするもんだから実弥は困った。
あまり長居すると夢が心配して来てしまうかもしれない。早急に2回ほど処理してなんとか落ち着いてもらえた。


布団に戻ると実弥の心配をよそに夢は背を向けて寝ていて、後ろからそっと抱き締めて眠りについた。




2人仲良く朝食中に夢が実弥の名前を呼んだ。


「なんだァ?」


「実弥くん護身用の小刀とか持ってたまに寝てるの?」


そんな物持って寝ていないが嫌な予感がして少し黙った。


「昨日もそうだけどお尻とかに硬い小刀みたいのが当たる日があるんだよね。ぐいぐい押し付けないでね?」


「…すまねェ。気を付ける」


「実弥くん、汗凄いけど大丈夫?」


「…あァ」



それは護身用の小刀ではなく小刀なんて可愛いものではない正真正銘の俺の大太刀です。なんて告げる事はできず、そして、無意識に腰を押し付けている事実に焦る。
俺はそのうち無意識に襲ってしまったり、身体をまさぐってしまったりしないだろうか。


最近、性欲が高まってきていけねェ。己を強く鍛え直さねばと思い鍛練を増やしたら、増やした分だけ筋肉がつき、また夢に筋肉凄くなってる〜とまた触られてしまい。大太刀が暴走しそうになり実弥は大変だった。



end.




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