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4話




週が明けて月曜日。土日に溜まっていた処理に各チームが忙しくなる日。とはいえセールが終わった後なので先週程ではない。

今日は商品の写真撮影などがないので善逸が宇髄のパシりに呼ばれる事もないのでお客様対応チームにおり、夢と同じ島にいる。善逸と玄弥の後処理を夢が、隣の島には煉獄と炭治郎と村田さんでそちらには甘露寺がいてとても賑やか。
高校から一緒のメンバーで気が楽だ。ただ、たまに玄弥が面倒なお客様に当たるとだんだん青筋が浮かんで来て凶悪な顔をするのはやめてほしい。兄そっくりだ。


「夢ちゃん、これとこれとこれ、配達日変更でこっちキャンセルお願い」


「りょーかい。玄弥は?さっきのキャンセルになったんだよね?頂戴」


「お、俺のはいいよ自分で処理する」


「いや、私の仕事だからね」


玄弥が私に仕事を渡さないので机の上からキャンセルの案件を取っていこうとしたら、紙の反対側を抑えられてしまった。


「いいって、こんぐらい自分でできるから」


「善逸なんて一気に 4件渡して来てるからね?玄弥のもやるよ」


「え、夢ちゃん怒ってる?」


はぁと午前からため息を着いた玄弥は紙から手を離し、付箋に何やら書いて夢に寄越す。


"兄貴がさっきからコッチ睨んでるから"


「ねぇ、夢ちゃん無視しないでよぉ〜」


げっ、不味い。と思い不死川の方を見ると目が合ってしまった、というか睨まれてしまう。
付箋に夢も書き込み玄弥に渡す。


"確実に睨んでるね…私語、気を付ける"


「夢ちゃんっ!」


「うるっせぇぞォ、我妻ァァっ!」


無視し続けた結果、少し大きめな声を出した善逸が不死川に怒られてしまった。


あ、そうだと思い出し、また付箋に書いて玄弥に渡す。


"相談があるから今日お昼2人で食べたいんだけど"


玄弥は勘弁してくれと思った。これ以上、兄に睨まれたくない。怒られたくない。
でも、相談があると言われて断るのも…

玄弥は頭を抱えたくなった。




お昼休み。先に兄貴がお昼に入ってくれて助かった。

恐らくカップ麺かコンビニ弁当を休憩室食べているであろと思い兄に見つからないように夢を連れて近くのハンバーガーショップに来ている。


「俺に相談ってどうしたんだ?」


「玄弥のお兄ちゃんの事で…」


ドキッとした。血管がドクドクと脈打ち、食欲なんかどっかいっちまいそうだ。

兄貴の熱烈な思いについに気づいたのだろうか?そして、困ったような表情からあまりいい答えが返ってこない気がしてならない。

もしかして夢は迷惑だと思っているのか。
そうだとしたら聞きたくない。長年の思いがまた打ち砕かれてしまった時、兄貴はどうなってしまうんだろう。
一度、大学時代に夢が彼氏をつくった時の荒れようは凄かった。もうあんな兄貴を見たくない。


「この前の飲み会の帰りにタクシーで送ってもらったでしょ?」


「…うん」


兄貴何したんだ!こんな困ったような顔をさせて…

食欲は完全に消えてしまってハンバーガーを机の上に置き、緊張でくっついてしまった喉を潤したくてコーラを飲む。


「私ね…タクシー代払ってないの」


「は?」


自分から間抜けな声が出たのが分かった。タクシー代?そんなの兄貴は気にしないし、寧ろ夢と2人きりになれた代金だ、ぐらいに思って喜んで全額払ったと思う。


「今度お礼します。ってメッセージ送ったんだけど、断られちゃって…不死川さんのお家何処か知らないけど結構かかったと思うんだよね」


なんだ、なんだよそんな事かよっ!深刻そうな顔してたから何事かと思ったじゃねぇかっ!

でも、そうだ夢は真面目だったんだ。そんな所も兄貴は好きなんだよなぁ。分かる。俺も兄貴が好きじゃなかったら惚れてたかもしれないし。

夢はなんていうか、美人じゃないし目立つようなタイプでもないんだけど可愛いんだ。守ってあげたくなるような雰囲気がある。

兄弟だから好みがもしかしたら似ているところがあるのかもしれない。だから理解できる。


「お、おはぎ渡しとけば喜ぶんじゃねぇの?」


「私も思ったけどさーおはぎじゃ安すぎない?」


絶対タクシー代4000円以上かかってると思うんだよねー深夜割り増しもあるし、なんて言う夢になんだか気が抜けてしまって、そしたらどっか行った食欲が戻って来たので置いてたハンバーガーを手にとった。


「不死川さんの好きなものって、おはぎ以外ある?」


「ん〜…おはぎ、カブトムシにおまっ…ん〜家族?」


好きなものって聞かれ、さっきの緊張感から解放されてついお前って言いそうになってしまった、危ない。

ばくばくと2個目のハンバーガーを食べながら思う。
待てよ、これはチャンスなのでは?俺が上手いこと誘導出来れば…


「ちなみに夢の好きなものとか行きたい所ないか?」


「私?んー苺にオシャレなカフェに行きたい所は沢山あるよー?って私の聞いてどうするの!」


「い、いいから!他にも兄貴の好きなものとか思い出すかもしれないから行きたい所言えって!」


「えー?クラゲ館に、ふれあい動物園に」


「ちょっと待て!」


一旦ストップをかけてスマホを開きムービーの録画開始ボタンを押した。


「えっ!撮ってるの!止めてよ!」


「いいから、はい!行きたい所、全部言って」


「クラゲ館に、ふれあい動物園、キメツ臨海公園にー、花火大会も行きたいしょ?あとねビール飲めないけどビアガーデンにも行きたい!あ、玄弥ポテト食べる?私、お腹一杯になっちゃった」


「おっけ!」


力の入った監督のような掛け声を出してしまったが、きちんと録画する事ができた。兄貴!俺やったよ!


「ポテト食べて?」


「あァ。わりぃ、 貰う」


大仕事を終えたような気持ちだ。
夢が差し出してきたポテトを食って気を落ち着かせる。自分の事のようにわくわくしてきてしまった。


「で、参考になりましたかね?」


上目遣いで見てくる夢にまた無言でスマホを向けて写真を1枚撮った。


「なったなった。少し考えさせてくれ、報告するから」


「今また撮ったよね?」


「…気のせいだろォ」


いや、玄弥無理があるよ!撮ったでしょ!消して、と言う夢にもうそろ時間だから戻るぞ。と伝えて話を終わらし、なんだか浮かれた気分で会社に戻ると兄貴にばったり会ってしまった。


目を見開いて俺らを見ていて、ち、違うんだ兄貴っ!?兄貴が思っているような事はなくてと伝えたくても今は言えず。


お疲れ様です。と2人で挨拶して通りすぎるしかなかった。



end.




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