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3話





「テメェは今日飲み過ぎだァ」


「すみません、国名もっと覚えてきます」


「ククッ…次は負けねェようにかァ?」


「はい、頑張りますぅ」


古今東西ゲームで負けてしまった事を注意されたんだと思った夢は今度、お昼休みに誰かに練習に付き合って貰おうと思った。


「家に着くまでまだ少しかかる。寝とけェ」


「はいぃ、すみません」


タクシーに押し込まれた時は何処に連れて行かれるのか、一瞬良からぬ考えが浮かんだが不死川は飲み過ぎた自分を心配してくれたようだ。

不死川は二次会に行きたかったかもしれない。そう思うと申し訳ない気持ちになったが今は眠気に勝てそうもない。

目を瞑るとすぐに意識が遠退いていく。
首がガクンとなった時、ふわっと昼間感じた柔軟剤の匂いがした。


不死川が距離を詰め、夢が前に倒れ行かないよう引き寄せ自分の肩に寄り掛からせたのだ。


「あり、がとう、ございます」


目を瞑ったまま言う夢。
手は無意識に不死川の太ももの上に置いた。


「ん」と短く答えた不死川。もう夢の中に旅立った夢の手に自分の手を重ねたのだった。




「着いたぞォ、起きれるかァ?」


不死川の声で意識が戻ると自宅のアパートの前だった。あぁ、降りなきゃ、お金を払わなきゃと覚醒しきっていない頭で考え、財布を取りだそうとするもその手を制された。


「歩けるかァ?」


「はい、大丈夫、れす」


「じゃあ、気をつけて帰れェ。お疲れさん」


お金の話は今はしない方がいいんだろうな、と眠いしくらくらと酔っぱらっている頭で理解し、タクシーを降りる。


「不死川さん、ありがとうございました。おやすみなさい」


お辞儀をして離れ、アパートの共同玄関のオートロックを解錠して中に入って振り返るとタクシーはまだ止まっていて不死川がこちらを見ていた。また、軽くお辞儀をして階段を登っていく。




夢の姿が見えなくなったのを確認して、タクシーを自宅へ向かわした。煩く鳴り響いてしまいそうで切ってしまったスマホに電源を入れるとやはり着信やSNSへ連絡が来ていた。

全て未読スルーしてやろうと思ったが新たにグループトークが作られている事に気づく。グループ名が『送り狼』…めちゃくちゃ嫌な予感がするが気になってしまったので送り狼に参加した。


参加すると、グループのアイコンが何かを見ている俺の顔に変更された。その何かはきっと角度的に夢で、誰だ!いつの間に撮りやがった!と思ったが位置的に煉獄な気がする。
やはり送り狼とは自分の事示されていたようで、げんなり。タクシーの中でため息をつくとバックミラーで運転手と目があっちまった。


宇髄から、送り狼中か?と不謹慎なメッセージが届く。既読がすぐに"3"ついた。

俺が『ンな訳ねーだろ』と返すと、『つまんねー』だとか、『よもやよもや』と返事が来て煉獄のよもやはどちらの意味なのか。
伊黒からは『そんな行動力がコイツにあればこんなに拗らせていない』と送られて来てしまった。
伊黒だけには言い返しずらい。なんたって見事初恋を実らせて現在同棲中のリア充だ。


『ちんたらしてたら大学ん時の二の舞になるぞ』


宇髄から送られて来たメッセージを見て胸がざわついた。


タクシーを降りて帰宅し、すぐシャワーに向かう。
大学の時の二の舞なんざ、御免だ。さっきまで寝てしまったアイツが俺に寄りかかって、俺の足に触れて浮わついた気持ちだったのに、宇髄のせいで…思い出しちまった。


元々大して酔ってはいなかったが、一気に素面に戻ったような気がする。
風呂から出てパンツ一丁のまま冷蔵庫に向かい缶ビールを飲むと、夢に貰ったハイボールが恋しくなりコンビニに寄ってくれば良かったと後悔。

勝手に変な会話を繰り広げられているんだろうな、と思いながらスマホを手にすれば送り狼の未読が"30"になっていた。

こいつら黙って飲んでろよ。と思わずにはいられない。俺のいないところで勝手に繰り広げられていた内容はやっぱりムカつくもので、俺の返信がない事に『あれ、怒っちゃった?』『おーい不死川スネ弥ー』など宇髄がほざいている。

スマホをソファに投げて無視を決め込もうとしたら、送り狼トークに伊黒のメッセージがポップアップで表示されていて『不死川いい事を教えてやる。夢の……』と書いてあるが、だいぶ改行しているのか肝心な続きがポップアップでは見れない。

クソッ気になって仕方がないねェ。

グループトークを開いて見た伊黒からのメッセージは衝撃的で俺は目を見開いた。


『不死川いい事を教えてやる。夢の……







胸のサイズは…




_人人人人人人_
>  Fカップ <
 ̄Y^Y^Y^Y^YY^Y ̄ 』


Fカップ!?そ、そんなにあったのかアイツ!?小さくはねェと思っていたが、そんなにあったとは…着痩せするタイプだったのか。というか…


『伊黒テメェ!!こんなところで晒すんじゃねェ!!』


宇髄と煉獄は『 (・)(・) 』この下品な顔文字を交互に送ってくる。


『はぁ?貴様は俺に感謝するべきだろう?』

『だいたいなんでテメェが知ってんだ』

『蜜璃から聞いたからだ』

『不死川すまない!俺は巨乳が好きなんだっ!
(・)(・)』

『ハァ?何言ってだ煉獄』

『今後、お前の事は応援出来ないかもしれない!
(・)(・)』

『殺す殺す殺す』

『おれもデカパイすきー(・)(・)』

『死ねェ!!宇髄!!アイツは俺のだ!!』

『はいー出たー彼氏面ーさっきも弟と回し飲みしようとしたの防いだもんな?』

『その後、夢に駄目だぞみたいに睨んでいたな!よもやよもや』

『┐(-。-;)┌』

『見てんじゃねェよ!!』と送り返して、送り狼のグループトークの通知をoffにして、またスマホをソファに投げた。


ビールを流し込み缶をおもっきし潰した所でまたスマホが鳴った。今度は個人宛に送って来たのかと思ってチラ見したポップアップには夢の名前が表示されている。

焦ってスマホを開き見てみる。

『不死川さん、お疲れさまです。先ほどはすいません、ありがとうございました。お金いくらかかりましたか?』

『気にしなくていい。それより具合悪くねぇか?』

『すみません…今度お礼します。ちょっと頭が痛いです』

『いいから早く寝ろ』

『はい、おやすみなさい』と可愛らしい動物が布団に入っているスタンプが送られてきた。


夢から連絡が来ることなんて業務連絡以外に無かったので嬉しくつい今のメッセージのやり取りをスクショしてしまった女々しい自分に多少げんなりしたので高揚した気持ちが少し落ち着いた。

それでもやはり嬉しい事には変わりなくて、ハイボールがまた飲みたくなった俺はジャージと適当にTシャツを来てコンビニ向かうのだった。




「Fカップかァ…」



end.




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