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1話


「お電話ありがとうございます!キメツショップ竈門です!」


「はいっ!誠に申し訳ございませんっ!」


声が大きい〜…大きいよ、炭治郎、煉獄さん。今日の座席キツい〜…


今日の夢の座席は左に炭治郎、右に煉獄。2人とも全力で仕事をするのは素晴らしいが声がでかすぎる。不意をつれた時はビクッとしてしまう。
座席は毎日変わるのだけど今日はやっかいな席になっているようだ。
社内電話取次ぎや、お客様へのクレーム対応をするお客様対応チーム、略して客対。客対のSVの管理者として皆をまとめているのが煉獄。

今日は、玄弥と村田さんとパシり…なんでもできる善逸と別の島になってしまった。
善逸は今日、宇髄さんのところにパシ…お手伝いに連れていかれた。

客対の後処理として仕事するのが庶務チーム。SVの甘露寺と夢。

和柄の商品を取り扱うネットショップで社員の皆は昔からの知り合い。
個性が強い面々との仕事は問題はよく起きるものの信頼が出来て、とても忙しく楽しい毎日。


「夢、先ほどのお客様だがキャンセルになった。キャンセル処理を頼む」


「え、結局キャンセルなんですか?折角、納期早めてあげてたのに…」


「うむ、全くよもや、よもやだ!」


そういう煉獄は骨折り損だったのにも関わらずいつもと変わらない表情。


「夢、こっちのキャンセルも頼む」


「了解ー」と炭治郎に渡された方の伝票を見れば常に出荷済みの商品だったので宅配業者に配達を止めてもらわなければ。


「夢、今日金曜だし、また皆で飲みに行かないか?気になるお店があるんだ!」


「え、行きたい行きたい!どんなお店?」


「炉端焼きのお店で海鮮が美味しそうなんだ」


「行く行く!!」


「むぅ、俺も行きたいが参加してもいいか!」


隣で話を聞いていた煉獄さんも参加してくれるようで私達は「勿論!!」と声を揃えて返事をした。煉獄がいると場が明るくなるので嬉しい。今日の夜が楽しみになり、何食べようかな〜何飲もうかな〜なんて考えていると頭に衝撃的が走った。


「痛っ」


「テメェら朝から飲み会の話してねェで仕事しやがれっ!!」


私だけ頭を叩かれた。頭を叩いたのはサブマネージャーの不死川さん。玄弥のお兄ちゃん。不死川さんは主にオペレーション系のサブマネージャーで、もう一人いるサブマネージャーの伊黒さんはシステムや数値管理の担当で爆乳甘露寺さんの彼氏。


「すまん不死川、俺も話しに参加してしまった!不死川も今日飲みに行かないか?」


えぇ!?煉獄さん今怒られたのに誘うの!?でもご機嫌を取るのにはいいかもしれない…


「不死川さんも行きましょう?炉端焼きのお店なんですってきっと美味しいですよー」


「…テメェは余裕そうだなぁ、だったらこっちの会員情報修正ちっと手伝えやァ」


「えぇ、なんで…」私だけ。という言葉は出てこなかった。後ろに立っている不死川さんのお顔に青筋が浮かんでいる、不味い。伊之助のようにスマブラ事件を起こされるかもしれない。伊之助は奇跡的に無事だったが、私はきっと瀕死状態になってしまう。

ヤバイと炭治郎と煉獄さんも感じたのか、私に渡してきたキャンセル処理を無言で自分の手元に引き戻した。


「おらァ、こっち来い」


人差し指でくいっと自分の方に来いと合図されついて行く。自分の座席から離れて行く時に「よもや、よもやだ」と言う声が聞こえると不死川さんが舌打ちした。


サブマネージャーの不死川のデスクには隣にもう1つ小さいデスクが並んでる。


不死川が隣の席に座るように目線をってくるので大人しく席に着くと、不死川のノートパソコンが夢の目の前に置かれた。


なんで不死川さんのノートパソコンが…会社の端末でいいじゃん!って思ったがそんな事は当然言えない。手垢とかついたらキレられそう…


会員情報修正はこの前もやらされたから処理はわかるのだが不死川のパソコンなのでデスクトップに貼ってあるフォルダがいつものものと違う。何処から入っていけば必要なファイルにたどり着くのか。


「あァ、悪ィ。場所わかんねェよな?開いてやるからちょっと待て」


「は、はいぃ…」


近い近い近いっ!!近いよ不死川さんっ!?

夢の後ろから右手を伸ばし、マウスを掴むとデスクトップに貼ってあるフォルダをクリックし始める。カチンと体は固まってしまって動けない。
不死川が動くとワイシャツからだろうか、柔軟剤のいい匂いがしてくる。それがまた近さをより実感して恥ずかしい。


「これだ、後は出きるなァ」


「はいぃ…」


不死川が自分の席に座ったので一安心。急いで取り掛かろう。早く終わらすのだ。そして、あの煩い席に戻りたい。


「おい」


「はい!」


「焦ってやろうとすンな、個人情報なんだから慎重にやれェ」


「はいぃ…」


不死川さんは人の心が読めるのだろうか。もし、そうだとしたら不味い。無心で手を動かさなければ。




「ふぅー…不死川さん終わりました」


息を吐いてから終了報告をすると自分の席からワークチェアでガッとこちらに近づきノートパソコンを覗き込まれる。


だから近いんだって、不死川さん!!


「おォ。終わったヤツはこのパソコンはこっちのフォルダだ。覚えとけェ」


覚えとけと言うことはまたこの緊張するノートパソコンで作業をやらされるって事でしょうか………マジかっ…と思っていると目の前に飴が置かれた。


「貰っていいんですか?」


「おォ」


立ち上がった不死川さんは私の頭にポンと手を置いてから部屋を出て行った。


はぁ〜なんだかもう午前中で疲れてしまった。不死川さんから貰った抹茶ミルク飴は私が好きな飴だったので嬉しい。
そんなに深くは関わってきていないけど不死川さんは高校から知っている。なんとなく近寄りがたいし、ちゃんとしてないと怒られそうなので正直なところ苦手だったけど、意外に優しいところがあるんだよな〜…


私は飴を手にして自席に戻った。



end.



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