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カカシくんと出会ったのは、父が朧月庵を開いてすぐのことだったか。まだ客足が少ない昼だった。
当時幼かったので確かではないが、母に「パパのお友達とそのお子さんが来るからきちんとご挨拶してね。同い年の男の子だけど、仲良く遊ぶのよ」と言われ、嫌だなぁと思ったのをよく覚えている。
意地悪な子だったらどうしよう、乱暴な子だったらどうしよう。お友達じゃなくて、かわいいあきらと遊んでたいのになぁ──内気で人見知りだった私は、母の服の裾を掴みながら嫌々頷いたのだった。

初めて彼を見た時のことははっきりと覚えている。
「こんにちはー」と、とても優しそうな顔と声のおじさんが入ってきて──このおじさんはカカシくんのお父さんなのだが──その後に、顔を布で隠し、黒の上着にグレーの半ズボンを履いた無表情の男の子が入ってきた。
小さかった私は、もうこの時点でギョッとした。その頃、黒いマスクなんてしているお友達は周りにいなかったし、彼はよく遊んでいる近所の子たちよりも随分と身長が大きくて、四歳とは思えない程の落ち着きっぷりだったからだ。
店の入り口の戸の向こうからたっぷりと降り注ぐ太陽の光が二人の銀色の髪の輪郭をふちどり、透明な金色に染めていた。それがまるで後光のようだった。
そのせいもあって、なんだか彼が自分と同じ世界に生きているとは思えず、彼とはお友達にはなりたくないなと最初思ったのだった。
同い年なんてぜったい嘘だ!ママの嘘つき!──そんな風にいじけて、母の後ろにサッと隠れたのだった。

「はじめまして、はたけカカシです。父さんがいつもお世話になってます」
「おぉ、はじめまして。これはこれはしっかりした子だ。将来有望だぞ」

彼がマスクを下ろして自己紹介をすると、ますます同い年には思えなくなった。カカシくんは大人がびっくりするくらいハキハキとした四歳児だった。
私は他の子が自分の父に褒められているのが気に食わなくて、ますます彼とは仲良くしたく無くなる。
しかし、母はそんなことなんて知る由もなく、「ほら、カナも挨拶なさい」なんて自分の背後に隠れた私の背中をぐいと押し、はたけ親子に挨拶をするよう促した。

「……しののめ、カナです」

顔は少し俯き、相手の反応を伺うように視線だけを二人に向けると、カカシくんのお父さんはとびきり優しい表情で
「カナちゃん、大きくなったねぇ。それにしても、お母さんに似てとってもかわいいねぇ」と褒めてくれた。
私は昔会ったことがあるかどうかなんて全く覚えていなかったが、かわいいと言われたことですっかり嬉しくなって、今度は恥ずかしさから母の後ろに身を隠した。四歳であっても、女の子は女の子なのだ。

「うちのカカシとも仲良くしてやってね」

自分を褒めてくれたおじさんにそう言われると、なんだかカカシくんとも仲良くしてもいいような気がして私は首を縦に振った。
その流れでチラッとマスクを外したままのカカシくんを見ると、何を考えているかわからない表情だった。私はそのまま母の後ろにずっと立って彼に注目した。

「もう、カナったらいつまでも人見知りが治らなくて。すみません」
「女の子は甘えん坊さんの方が可愛いじゃないですか」
「そのうちパパ臭い〜とか言われると思うと悲しいったらありゃしないよ……しっかし、カカシくんは男前だねぇ」
「どうもありがとうございます」

彼は私と違って、褒められても表情一つ変えず淡々と返していた。嬉しくないのかなぁと不思議だった。


二人は店のカウンター席に座ると、真新しい藍色の表紙をした品書きを手にとり、それぞれ注文をする。
カウンター席の椅子は少し高かったが、カカシくんは自力で座っていて私はまた驚いた。その頃まだ私は父か母に抱き上げられて座らせてもらっていたくらいだった。
父は注文を受けると、いつもより楽しそうに話しながら調理をしていた。母も手伝いに厨房へ入ったので、私は仕方なく厨房の出入り口のすぐ横にある空いている席に座って四人の様子を観察していた。

すると、あることに気づく。
カカシくんのお父さんとカカシくんはそっくりだったけれど、全然違っていた。カカシくんのお父さんはずっとニコニコしているが、カカシくんはずっと同じ表情だ。キリッとしているのか、眠そうなのかよくわからない表情。
親子なのに、似ているのに全然違うなんて、へんてこだなぁと私はますますカカシくんを見澄ました。
そして、もう一つ気づいたことがあった。
カカシくんがカカシくんのお父さんの方を向く時、確かに笑顔が垣間見えたのだ。すごい発見だった。
厨房の両親を見るときにはもう、すっかりその瞳の輝きは消えていた。
きっとカカシくんは、カカシくんのお父さんが大好きなんだろうなと思った。

周りの人は皆、好きな人を見たり、好きな人とお喋りをすると目や口や顔の周りがキラキラと輝く。
例えば父は、私を寝かしつける時や弟を抱っこしている時、それから母と楽しそうにおしゃべりをしている時、瞳が澄んだ水面のように煌めいていた。それは母も同じだった。
近所のおじさんは、奥さんと子供達と歩いている時にそうだった。隣の隣の家のお兄さんは、友達や彼女と歩いているのを見た時、全身からキラキラとした何かが放たれていた。子供の頃の私には、いつもそういう風に見えていた。


親達が話し込み始めると、とても退屈だった。
カカシくんは父の作った定食を食べながら私の父や母ときちんと会話をしていたが、私は蚊帳の外。時々カカシくんのお父さんが私に話しかけてくれたが、私はもじもじと首を傾げて一言二言返すのが精一杯だった。
すると、父と母が「ちゃんとお返事なさい!」と怒り、次第につまらなくなったのだった。
とうとう私は、店と細い廊下で繋がっている自宅の居間でお昼寝をしている弟のもとへ逃げてしまった。

私はその頃、日に日に成長していく弟が可愛くて愛しくて仕方がなかった。その愛くるしい全てを、いつでもぎゅっと抱きしめて、守ってあげたいと思っていた。「お姉ちゃん」と両親から頼りにされるようになったことも一因だろう。
私は弟の寝顔を見ているだけで胸の奥がキューっと縮こまったような心地がして、慈愛と幸福に満ち足りるのだった。

弟はよく寝る子だった。私がそばに座って、その白いやわもちみたいなぷにぷにのほっぺや、まだむちむちさが残っている水分の多そうな腕をむにむにとつついても、全然起きなかった。
それが余計に可愛くて、私はカカシくんのことなんかすっかり忘れて弟の寝顔に見入っていた。


しばらくすると、店の方から誰かが近づいてくる足音がした。
母かと思って「ママ?」と笑顔で振り返ると、視界に飛び込んできたのはよくわからない表情をしたカカシくんだった。気付いた瞬間、私の体温がスーッと下がる。

「おばさんがお部屋で遊んできなさいって」

私は黙ったまま、彼をじっと見つめる。かわいい弟に何かされないかが心配だった。

「そんな怖い顔しないでよ。何してるの?」
「……弟、」
「え?」

カカシくんは眉間にシワを寄せて、ゆっくりこちらへ歩いてくる。私はすかさず、弟をいつでも守れるよう構えた。
それに気づいたのか、彼は少し私と距離をとったまま視線を床へ落とし、弟が眠っているのに気づくとその場でじっと見つめていた。

「赤ちゃんか。かわいいね」

そういったカカシくんの目はキラキラしていた。マスクをしていたからよく表現は分からなかったが、多分微笑んでいたんだと思う。
弟を褒めてくれたことが嬉しくて、それから彼の目がキラキラしていることに安心して、私はふっと警戒の糸を緩めて急に饒舌になった。

「私の弟でね、あきらっていうの。かわいいでしょ!今はお昼寝中だから静かにしてあげてね。ちょっとだけだったら触ってもいいよ!」

ささやき声でそういうと、カカシくんは急な私の変化に戸惑いながら「触っていいの?」と、私達と少し距離をつめる。

「うん!でもいじわるしたり、痛いことはぜーったいにしないでね!」
「そんなことしないよ」
「じゃあいいよ!ほっぺとか、あんよとか、とってもかわいいんだよ!」

弟のかわいいところを言う私は、きっとものすごい笑顔だったのだろう。カカシくんは私を見てクスクス笑いながら私の隣へ座った。
それからゆっくりと手を出し、恐る恐る人差し指であきらの腕を優しくつついた。

「……わぁ、ぷにぷにだ!」
「でしょ!ずっと触ってたくなっちゃうの!」

凄く嬉しそうな顔をしていた。まるでカカシくんのお父さんを見る時と変わらない顔だった。
本能的に、この子は弟を絶対に可愛がってくれると判断した。そして、カカシくんは本当はとても優しい子だったんだと考えを改めた。
よく見るとかっこいい気もするし、仲良くなりたいなぁと思った。随分都合のいい心変わりである。

「いいなぁ、赤ちゃん」

カカシくんは弟の頭を優しく撫でながら言った。

「カカシくんは兄弟いないの?」
「うん、いないよ。一人っ子だから」
「そしたらカカシくんのママとパパにお願いしてみなよ!私もね、弟が欲しいってお願いしたんだよ!」

すると、カカシくんの表情が急に曇り始める。
「それは無理だよ」と弟から手を離し、膝の上に両手を置いて俯いた。
急にどうしたんだろうと思いながらも、「そうなの?」と訊ねると、カカシくんは眉を下げて再び笑顔になって私を見た。

「……オレの母さん、もうずっと昔に死んじゃってるんだ」

あまりにも痛々しい笑顔だった。
カカシくんの目は途端に輝きがなくなって、灰色がかった幕のようなものにすっかり覆われてしまった。
その姿に、子供ながらに自分が言ってはいけない事を言ってしまったことを自覚し、彼からそっと視線を外した。

「ごめんね……」
「別に謝ることじゃないよ。ただの事実だから」

カカシくんは難しい言葉を使うなと思った。その難しい言葉が、何故だか余計に私の胸を辛くさせた。
それから私は視線を床に置いたまま、お母さんがいないってどんな風だろうと想像する。
とにかく凄く凄く悲しいことなのだろう。毎日母に甘えて過ごしていた私はそれを想像するだけで口が歪み、目の縁がじんわり熱くなった。
毎朝起こしてくれるのも、ご飯を作ってくれるのも、お風呂に入れてくれるのも、寝る前に抱きしめてくれるのもカカシくんの場合はお父さんなのだろうか。
けれど、私のお父さんがまだ忍だった時は朝早くから出て行って何日も帰らないこともあった。
そうなるとカカシくんは、毎日一人ぼっちなのかなぁ──ますます私の小さな胸はつぶれそうになった。 

その時の私にはまだわからなかったが、成長していく過程でカカシくんが大人びているのはきっとこのことが原因なんだろうと思うようになった。
まだ幼いのに一人ぼっちで、全てを自分の力でどうにかしなければならないということ。母の愛に甘えることができないということ。いくらお父さんがいたとしても、どんなにお父さんが愛してくれたとしても、その事実は変えられないと言うこと。
それは、まだ四つの子供にはあまりにも残酷な世界だっただろう。今ならそう思う。

「そんなことより、赤ちゃんが起きるまでは静かに遊んでようか」

カカシくんは、ずっしりと重たくなった空気を取り払うように明るい声色で言って見せた。私の様子を察したのだろう。
私も想像の世界の中で孤独を味わいきり、どうにか楽しいところへ逃げ込みたくて「うん!お絵かきでもしよっか!」と思いっきり笑顔で応えた。
私は、カカシくんにたくさん優しくしてあげなくちゃと感じた。弟をかわいいと言って褒めてくれた、優しいカカシくんが寂しくないように遊んであげなくちゃ、と。
今思うと随分上からな考え方だったが、当時「お姉ちゃん」だった私にとっては何の違和感もない考え方だった。


そのあとしばらくお絵かきやらブロックやらで遊び、あきらが起きれば二人であやしながら遊んでいると、店の方から母が私達のことを呼んだ。カカシくんがもう帰るらしかった。
カカシくんと一緒に靴を履き、それから小さい身体で一生懸命あきらを抱っこして店の方へ出ると「あら、あきらも起きてたの」と母がとても驚いていた。

「いつもなら寝起きはぐずってひどいのに」
「あのね、カカシくんも一緒にあきらと遊んでたの!」
「あきらもだいぶ大きくなったねぇ」

カカシくんのお父さんはしみじみと言っていた。
私はすかさず「かわいいでしょ!」と弟を自慢する。

「ふふ、すっかりカナちゃんもお姉ちゃんなんだね」
「カナが小さい頃は任務で忙しくて、気づいたら大きくなっちまってねぇ。あの時は本当に寂しかったよ」
「子は親の想像を遥かえるスピードで大きくなるからなぁ」
「足も忍としてもオレはダメになっちまったが、こうしてあきらの成長を毎日見守れるとなると、今はまぁこれでもいいのかなぁと思えるようになったさ」

私達子供は黙って父親達の聞いていた。
あきらはと言えば、ニコニコ笑ってカカシくんに何かをお話ししながら、めいっぱいむちむちの両手を伸ばしていた。

「あれ、あきらったらカカシくんのことが気に入ったのかしら」

私達を見つめていた母が、不意にそんなことを言った。

「えっ?」
「どうもカカシくんに抱っこしてもらいたいみたいよ。抱っこしてみる?」
「でもオレ……赤ちゃんなんて抱っこしたことないし……」

穏やかな表情の母が近づいてくる。
そして、私の腕からあきらを優しく抱き上げると、戸惑うカカシくんに丁寧に抱っこの仕方を教えてあげていた。
そしてそおっと大切に、丁寧に扱うようなゆっくりとした動作で弟をカカシくんの腕へと預ける。

「わぁ、あったかい……!それとなんかいい匂いがする……!」
「なんだかあきらも嬉しそうね」
「カカシ、よかったな。赤ちゃんなんて滅多に抱っこさせてもらえないぞ」
「うん……!」

カカシくんの周りは、パッと花が咲いたように明るくなった。
今日見た中で一番キラキラが多く放出されていて、なんだか私はほっとした。カカシくんが楽しく過ごせて良かったと思った。こうやって、カカシくんの寂しさが紛れてくれたらいいなと思った。

「なんだぁ?カナより抱っこが上手いんじゃないか?」
「そんなことはないですよ。お姉ちゃんの方が上手いに決まってるじゃないですか」
「四歳で謙遜できるたぁ、ほんとサクモの息子は出来た子だねぇ……」
「自分の息子ながら驚くよ。あっという間に追い越されそうだ」

カカシくんは「ありがとうございました」とあきらを大事に母へと返す。そして「カナちゃん、今日は遊んでくれてありがとう」と私に笑顔で言うと、彼のお父さんの方へ駆け寄っていった。
その時初めてカカシくんに名前を呼ばれた気がして、私はちょっぴりどきっとした。そして、心の奥がなんとなくムズムズするような感じがした。

「それじゃ、ご馳走様でした。料理も全部美味しかったし、絶対にこの店は繁盛するよ!次はほかの奴らも連れてくる。カナちゃんもカカシと遊んでくれてありがとうね」

私は満面の笑みで頷いた。

店の外に出て、はたけ親子をしののめ一家全員で手を振って見送る。陽は少し傾き始めていて、薄いオレンジ色の光の粒子が通りをつつんでいた。

「カカシくん!またねー!」
「うん!またね」

彼はお父さんと手をつなぎながらこちらを振り向くと、私に大きく手を振り返してくれた。
低い位置から差す太陽のせいだったかもしれないが、その目は澄み渡っているように見えた。


この日から、カカシくんはよくうちに遊びに来るようになった。カカシくんのお父さんが任務でしばらくいない時は、うちに泊まる事もあった。
細かいことは子供だったので分からなかったが、どうもうちの父が一人の彼を不憫に思って、サクモさんに一言断って呼んでいたようだった。

「いやぁ、いつも本当に済まないね。きちんとお礼はするから」
「そんなんいいって!サクモのおかげで客も増えて、こっちはウハウハだし、カナもあきらも凄く楽しそうなんだ」
「しかし……うちの子は迷惑をかけていないでしょうか……」
「迷惑だなんてとんでもない!すんごくいい子で、なんの手もかかりゃしない。うちの子よりよっぽど……おっと、あんまり言うとカナが焼きもちやくからな」

父親達は、いつもそんなやりとりをしていた。
サクモさんは本当に申し訳なさそうにしていたが、父は本当に気にしていないようだった。それどころか、家が賑やかで楽しいとすら言っていた。みんなでワイワイするのが好きな人だったから、話していることはいつも本心だったのだろう。
カカシくんが来る日は何を食べさせてやろうかだとか、何をして遊ぼうかだとか、いつもみんな楽しみにしていた。

「カカシ、帰るぞ」
「父さん……!良かった、お帰り!」

それでもやっぱり、カカシくんにとってはサクモさんが一番なのは変わらなかった。そして、私たちもそれを望んでいた。
サクモさんが任務を遂行し、無事にカカシくんのもとへ戻り、嬉しそうなカカシくんと手を繋いで家に帰ることを毎回毎回心の底から願っていた。

「今日はおままごとか。カナちゃんがママでカカシがパパかな?」
「父さん、パパなんてそんな甘ったれた呼び方はやめてよ。オレは一家の大黒柱役なんだから」
「ふふ、そうか。いーなぁ、カカシは。カナちゃんみたいなかわいいママ役の子がいて」
「えぇ?!そうかな……」

カカシくんはお父さんにそう言われると、いつもマスクを深くかけ直して目を泳がせていたのを覚えている。
私はとにかくかわいいと言われるのが嬉しくて、いつも「やったー!」と両手を上にあげて喜んでいた。

「きっとカナちゃんならパパに似て料理の才能もあると思うし、いいお嫁さんになれるよ。うちのカカシのお嫁さんに来てくれたら嬉しいんだけどなぁ〜」
「ちょっと、父さん?!何言ってるの?!」
「きっと大人になったらカナちゃんはモテモテで、カカシの事なんて相手にしてくれなくなるかもしれないぞ〜」
「はぁ?!」

サクモさんは意外にも息子ををからかうのが好きだったようで、よくそんな冗談を言っていた。カカシくんは少しオマセさんだったので、サクモさんの言うことをよく理解してその度に反発していた。
一方私といえば、話の内容なんて二の次で、ただカカシくんが慌てているのがやけに面白くて、サクモさんに加勢するように「私、大きくなったらカカシくんのお嫁さんになる!」といたずらに笑って言うのが恒例だった。
お嫁さんになるのがどう言うことだとかは勿論全くわかっていなかった。

「まぁ別にオレは……」
「父さん、お前達が大きくなるのが楽しみで仕方ないよ」

今思えば、全てあの時から私の淡い恋心は芽生え初めていたように思う。
思い出すだけで、あの時のキラキラとしたものが胸の奥から溢れ出すようだった。


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