死姦+対物性愛

14.壊れ行く心

 しばらく由来手の肩に寄りかかっていたら少し落ち着いて来て、身体を離した。

「ごめん……こんな話して」

由来手は別に構わないよと言っていつも通り穏やかな様子だった。

「由来手は、俺が、不快にならないのか」

「まさか。僕も、似たようなもんだから。
行きたいところに行けなくて、家族答案はいつも決定していた。付き合った彼女は大抵束縛が強くて、話を合わせていつも譲った。
流れるままに笑って、いつも良い子ぶって……僕って生きてる気がしてこなかった。
生まれたときから僕、
死体みたいだなって。生きたことないんじゃないかと思う」

だから、飾野と似ているね、と由来手は笑った。


どこに行きたい?
どこでも
なにが食べたい?
食べられるもの
なにがしたい?
なにも
なにがほしい?
なにも



「飾野の、目を見たときに、ピンと来たんだよ。
僕は飾野の死に憧れるような空気が、とても好きなんだ」

「由来手……」

「そう、その、淀んで、曇った眼……」

見つめ合う。
どくん。
心臓が揺れた気がする。

「今だけだよ、きっと、僕が生きていると感じるの」

「俺も」


胸が、痛い。はりさけそうだ。なのに、なんだか、こうしていたいような気がする。
過剰な束縛は、豊かな心の発育を著しく妨げる。だから今更意思を持とうにもエラーしか吐き出さない。

致命傷。

「だから、安心して。
きみを、縛り付けたりしたくないんだ」

改めて残りの弁当を食べながら、由来手はいつかの言葉を繰り返して言った。

「行きたいとこに行くし、行きたくないなら行かないし、食べたいものを食べるし、なんでもいいなら適当でいい」


雑誌の特集も、恋愛漫画や小説も、アテになんかならない。

「もっと、どうでもいい時間を持つべきなんだよ、僕らは」


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