「ただいま」
ボトルやタオル、洗面器を持って部屋に戻る。
由来手は寝ていた。すやすやと寝ていた。白が混じった粘液がベットリと腹についている。
少し乾き始めていた。
松本宮は途中軌道をはずしたのか、横に転がっており、充電がなくなっている。由来手はあのまま動かずに、途中までは掃除機に攻められていたのだろう。何となく愛しく思った。
「ごめん、せっかく来てるのにね……」
今日はろくに由来手に触れ合わない気がする。
髪を撫でつけ、それからタオルを絞って、彼を拭く。
「愛しい、か……」
意識がない相手じゃないと駄目なんだ、と改めて実感した。
少しして由来手は目を覚ます。俺のシャツを着せて、身体もきれいにした。
「おは、よう……」
彼は少し照れたように起き上がる。
「おはよう」
「寝ちゃってた」
「いいよ、別に」