「言いにくい話?」
言葉に詰まってしまう俺のことを、由来手が連れ出す。
「いい場所知ってる」
手を引かれてぐいぐいと廊下を歩いていくと、やがて使われてない屋上のすぐそばの空き教室に来た。
「お前、バカだろ」
「は?」
傷つくと知ってるのに。傷つけたい。
俺は――たぶん、死体になった身体しか愛せない。はずだ。
「俺はお前が好きなんだ」
「嬉しい」
は?
彼が何か言った気がする。
ただでさえ同性。
気持ち悪がっていくところ。
なんだか腹が立った。
人の気も知らない。
目をそらしたくて、なにげなしに、ちらりと埃まみれの教室の、きたない壁を見る。誰が開けたのやら、小さな穴が空いていた。
「……僕もだよ」
「俺は、由来手の好きとは違うよ」