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飾野が学校を休んだ。
放課後から体調が悪かったし仕方ない。
彼のいない教室はいつもより味気ないが、授業により集中すればいい。もくもくと学業をこなす。淡々としたこの事務的な時間も嫌いじゃない。一応は勉強しに来ている、わけだから。
ため息を堪えて死体のことを考えてみた。飾野が持っていた写メのこと……
亡くなったばかりの男性。
嫌な気はしなかった。
嫌な気がしたわけではない。
あんなに、西尾さん、が否定したのが不思議なくらいだ。
あれからどうしたんだろうか。
ホームルームを終えた教室で、シラバスを確認していると誰かが肩を叩いた。
「はい?」
たしか……図書室に居た、せっちゃん、だった。
「あのぅ、飾野さんっていますかねぇ?」
「休み。風邪引いたみたいだよ」
「はぁ、そっすかぁ……」
残念そうにするせっちゃん。
「なにか用事? 伝言とかある?」
「いいです、また来るんで」
パタパタと、もと来た道を戻っていく。なんだったのだろう。なんだか意地悪な気持ちが芽生えてくる。彼が生きている相手にはときめかないと教えてやりたくなる。彼女が飾野を狙っているのであれば……
2019.10/14.0:35