私にはあまり関係ないが、大輝たち高校生には大いに関係がある夏休み最終日。その日は大輝の誕生日でもある。付き合い始めてから初めて迎える大輝の誕生日ではあるが、この日一緒に過ごせるとは思っていない。八月三十一日、何度も言うが大輝の誕生日でもあり、夏休み最終日なのである。
「お姉ちゃんごめん、あのね…青峰くんったら宿題全然終わってなかったの…!それで、宿題提出しないと部に影響出るから…その、キャプテンの部屋でみんなで宿題手伝うことになっちゃって」
さつきからの電話に、もしやと思い出てみると案の定だった。大輝が真面目に宿題をやっているとは思っていなかったのでこうなることは予想済みだ。
「いいよ、気にしないで。それよりちゃんと言い聞かせてたつもりだったんだけど、こっちこそごめん」
「ううん、お姉ちゃんのせいじゃないよ、元はと言えば青峰くんがぜーーーーんぶ悪いんだから」
「そうそう。大輝が悪いの」
「ごめんね、本当に」
「気にしないの。どうせそうなると思ってたから」
「あ、やっぱり?」
「一度でもちゃんとやってきた試しある?」
「ない」
バスケ以外にはまるで興味がない大輝のことだ。
真面目に宿題に取り組んでいるわけもないし、誕生日だって大切に考えているわけでもない。大輝にとっては夏休みが終わる日、それだけなのだ。
「え、ナマエさんそれはさすがにドライすぎ」
「そう?」
「そうッスよ!メールくらいしたんスよね?」
「うん、それはしたけど…っていうか涼ちゃんはちゃんと終わらせたの?宿題」
「まあ…ギリギリだったけど笠松先輩に助けてもらいました」
「なら良し」
「ナマエさんマジで今日青峰っちと会わないの?」
「会わないよ」
「良いのかなあ…」
数分前に涼ちゃんから"今日は青峰っちとデートッスか?"とハートマークたっぷりのメールが届いた。宿題終わってないらしいから会わないよと返信をすると、すぐに電話がかかってきて先ほどの会話へと至る。涼ちゃんの言いたいこともわかるけど、大輝は高校生で、その本分は勉強なのだからそちらを優先させるのは当然のことだ。
「ナマエさん物分り良すぎ、ちゃんと青峰っちにわがまま言ってる?」
「わがまま?言ってるよ、たくさん」
「え〜、それはそれで羨ましい」
「なにそれ、私にどうして欲しいの」
「俺もナマエさんに甘えられたい」
「変なこと言わないでよ、涼ちゃんは甘えたいタイプでしょ」
「好きな子には甘えられたいタイプッス!」
「好きな子いるの?」
「ナマエさん」
「やだもう」
「結構マジなんスけど」
「大輝にメールしとくね、涼ちゃんから愛の告白されたって」
「殺されるからやめて」
「はいはい。明日から学校始まるんでしょ?ちゃんと新学期の準備とか終わってるの?」
「お母さんみたいなこと言わないでほしいッス。まあ終わってないんだけど…」
「新学期早々忘れ物とかしないようにね」
「はーい、頑張るッス」
「じゃ、また部活の時に」
告白がどこまで本気なのかはわからないけど、涼ちゃんなりに心配してくれているんだろうと思う。スケジュール帳を開くと、八月三十一日の欄にはしっかり"大輝の誕生日"と、浮かれたようにピンク色のペンで書かれていて、少しだけ虚しくなった。
だめだめ、私たちはお互いを高め合うために一緒にいるんだから。勉強が最優先!と気持ちを切り替えるために頭をブンブンと振って一息ついたところで再び着信を告げる音が響いた。今日はやけに電話が多い。
「はい」
「もしもし、俺だけど」
「宿題どう?順調?」
「…まあ」
「先輩たちに迷惑かけないようにちゃんとやらなきゃだめだよ」
「そりゃわかってる。宿題はなんとかなる」
「じゃあどうしたの?」
「いや、なんつーか、声だけでも聞いときたかった」
「誕生日の最後に?そう思うなら来年は誕生日デートできるようにしっかり宿題してよ」
「…考えとくわ。ってか今まで誕生日とか別になんとも思ってなかったんだけどよ…お前には会いてえわ」
「今度時間見つけて二人で出かけよう」
「ああ」
「お祝いさせてね」
「楽しみにしてる」
「好きだよ」
「…俺も」
「誕生日おめでとう」
「サンキュ」
大輝がこの世に、そしてキセキのように隣の家に生まれてきてくれたことを、これほどまでに感謝した日がかつてあっただろうか。日を追うごとに愛しくなる大切な大切な大輝が生まれた日。来年からはずっと一緒に祝いたいなと遠いようで近い未来に想いを馳せたのだった。
「お姉ちゃんごめん、あのね…青峰くんったら宿題全然終わってなかったの…!それで、宿題提出しないと部に影響出るから…その、キャプテンの部屋でみんなで宿題手伝うことになっちゃって」
さつきからの電話に、もしやと思い出てみると案の定だった。大輝が真面目に宿題をやっているとは思っていなかったのでこうなることは予想済みだ。
「いいよ、気にしないで。それよりちゃんと言い聞かせてたつもりだったんだけど、こっちこそごめん」
「ううん、お姉ちゃんのせいじゃないよ、元はと言えば青峰くんがぜーーーーんぶ悪いんだから」
「そうそう。大輝が悪いの」
「ごめんね、本当に」
「気にしないの。どうせそうなると思ってたから」
「あ、やっぱり?」
「一度でもちゃんとやってきた試しある?」
「ない」
バスケ以外にはまるで興味がない大輝のことだ。
真面目に宿題に取り組んでいるわけもないし、誕生日だって大切に考えているわけでもない。大輝にとっては夏休みが終わる日、それだけなのだ。
「え、ナマエさんそれはさすがにドライすぎ」
「そう?」
「そうッスよ!メールくらいしたんスよね?」
「うん、それはしたけど…っていうか涼ちゃんはちゃんと終わらせたの?宿題」
「まあ…ギリギリだったけど笠松先輩に助けてもらいました」
「なら良し」
「ナマエさんマジで今日青峰っちと会わないの?」
「会わないよ」
「良いのかなあ…」
数分前に涼ちゃんから"今日は青峰っちとデートッスか?"とハートマークたっぷりのメールが届いた。宿題終わってないらしいから会わないよと返信をすると、すぐに電話がかかってきて先ほどの会話へと至る。涼ちゃんの言いたいこともわかるけど、大輝は高校生で、その本分は勉強なのだからそちらを優先させるのは当然のことだ。
「ナマエさん物分り良すぎ、ちゃんと青峰っちにわがまま言ってる?」
「わがまま?言ってるよ、たくさん」
「え〜、それはそれで羨ましい」
「なにそれ、私にどうして欲しいの」
「俺もナマエさんに甘えられたい」
「変なこと言わないでよ、涼ちゃんは甘えたいタイプでしょ」
「好きな子には甘えられたいタイプッス!」
「好きな子いるの?」
「ナマエさん」
「やだもう」
「結構マジなんスけど」
「大輝にメールしとくね、涼ちゃんから愛の告白されたって」
「殺されるからやめて」
「はいはい。明日から学校始まるんでしょ?ちゃんと新学期の準備とか終わってるの?」
「お母さんみたいなこと言わないでほしいッス。まあ終わってないんだけど…」
「新学期早々忘れ物とかしないようにね」
「はーい、頑張るッス」
「じゃ、また部活の時に」
告白がどこまで本気なのかはわからないけど、涼ちゃんなりに心配してくれているんだろうと思う。スケジュール帳を開くと、八月三十一日の欄にはしっかり"大輝の誕生日"と、浮かれたようにピンク色のペンで書かれていて、少しだけ虚しくなった。
だめだめ、私たちはお互いを高め合うために一緒にいるんだから。勉強が最優先!と気持ちを切り替えるために頭をブンブンと振って一息ついたところで再び着信を告げる音が響いた。今日はやけに電話が多い。
「はい」
「もしもし、俺だけど」
「宿題どう?順調?」
「…まあ」
「先輩たちに迷惑かけないようにちゃんとやらなきゃだめだよ」
「そりゃわかってる。宿題はなんとかなる」
「じゃあどうしたの?」
「いや、なんつーか、声だけでも聞いときたかった」
「誕生日の最後に?そう思うなら来年は誕生日デートできるようにしっかり宿題してよ」
「…考えとくわ。ってか今まで誕生日とか別になんとも思ってなかったんだけどよ…お前には会いてえわ」
「今度時間見つけて二人で出かけよう」
「ああ」
「お祝いさせてね」
「楽しみにしてる」
「好きだよ」
「…俺も」
「誕生日おめでとう」
「サンキュ」
大輝がこの世に、そしてキセキのように隣の家に生まれてきてくれたことを、これほどまでに感謝した日がかつてあっただろうか。日を追うごとに愛しくなる大切な大切な大輝が生まれた日。来年からはずっと一緒に祝いたいなと遠いようで近い未来に想いを馳せたのだった。
