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- ナノ -

「お前今日バイト終わったら実家帰れよ。俺んとこ明日練習試合で朝早ぇんだ。こっちでバイトないんだったら実家にいてもいいだろ。海常がどこにあるかしんねぇけどあっちからでも行けるし」
「うん、そうだね」
「いくら俺でも…さすがにお前の親父さんも心配してるだろうしな」
「え?」
「お前男と二人で暮らしてんだぞ、親父ならいい気しねぇよ、多分」
「大輝なのに」
「俺でもだよ」

今朝、学校へ行く前に大輝にそう言われた。
男親とはそんなものなのだろうかと思いつつ、お母さんからは時間があるときは帰ってきなさいと連絡が来ていたので元々週末は帰る気でいたのだが、大輝から言われてしまうと少し寂しかった。

バイトが終わり実家に帰り着いた頃には既に日付を跨いでいたのだが、お父さんもお母さんも起きて待っていてくれた。時間が遅かったため食事は取らず、のんびりとお風呂にだけ入った。

「わ、お母さんまだ起きてたの」
「だって心配じゃない。あれから何もなかった?」
「うん。大輝もいてくれたし」
「今度大ちゃんにもお礼しなきゃね」
「おばさんにもお礼言っといてね」
「大ちゃんママには伝えたんだけど大ちゃんには中々会えないのよ」
「本当に助かったよ」
「早く解決すればいいんだけど…」

話しながら眠そうにあくびをこぼしたお母さんにつられ、私も大きなあくびが出た。明日も早いしもう寝ようと言われ、おやすみと告げて部屋に向かった。自分の部屋に向かう途中、さつきの部屋から明かりが漏れていることに気付きトントンとノックをして部屋に入った。明日は練習試合だと言っていたのにこんなに夜更かししていて大丈夫なのだろうか。

「さつき、寝ないの?」
「わ!お姉ちゃん帰ってたんだ!気付かなかった」
「集中するのは良いけど早く寝ないと、明日早いんでしょ?」
「そうなんだけど…気になることもあったからつい」
「さつき、マネージャー楽しい?」
「楽しいよ。みんなどんどん上達していくのがわかるし、まあ青峰くんはまだ真面目に来てくれないけど…周りも強いところばっかりで勉強になる」
「そっか」
「お姉ちゃんは大丈夫なの?あれから、家のほうは」
「うん。特に何もないよ。大輝がいてくれるから安心だし」
「青峰くんってほんとお姉ちゃんに甘いっていうか、お姉ちゃんのことに関しては真剣だよ。あ、お昼休みはね、嬉しそうにお弁当食べてる」
「そうなんだ、良かった」
「朝も遅刻せずに学校来てるの珍しいよ。お姉ちゃんの家から通うから見栄張ってるんだろうけど」

学校での大輝の様子を話すさつきは、時折ケラケラと思い出し笑いをしていてとても嬉しそうだった。高校生活の三年とは長いようでとても短い尊いものだ。その時間を大輝と一緒に過ごせるさつきは、やはり何度考えても羨ましかった。

「お姉ちゃん…?聞いてる?」
「うん、聞いてるよ」
「ほんとかな〜」
「あ、そうだ…気になってたことあるんだけど」
「なに?」
「大輝って彼女いないの?」
「は?」
「いや…もしいたら、幼馴染とはいえ私その子に相当ひどいことしてると思って」

私の質問に、目を点にしてしばらく固まったかと思えば、突然大声で笑い出したさつき。しまいには目に涙を浮かべて必死に笑いを堪えようとしている。

「そんなにおかしくないでしょ」
「おかしいよ…っ…はは、青峰くんにも同じこと聞かれたんだもん」
「同じ…?」
「お姉ちゃんに彼氏いないよな、って」
「私いないって言ったのに」
「不安だったんじゃない?」
「なにが?」
「お姉ちゃんと一緒だよ。もし本当はいたらどうしようって、相手に悪いんじゃないかって」
「そんな相手長いこといないよ」
「あ、でもさ、高校の時付き合ってたあの先輩かっこ良かったよね!」
「サッカー部の?」
「そうそう!まだ続けてるのかな?」
「どうだろ?全然知らないや」
「そういえば青峰くん彼女はいないけど告白されてるのは見たことあるよ」
「そうなの?大輝ってモテるんだ」
「我が桐皇学園バスケ部のエース様ですからね〜。ま、全部断ってるみたいだけど」

なぜ女という生き物は寄ればこうやって異性の話ばかりになってしまうのだろうか、とクラスメイトとさつきを重ねておかしくなった。年が離れていてもこういう話題はずっと共通して楽しめるものなのだろう。

「あ、もうこんな時間…」
「明日早いんだったよね、邪魔してごめん」
「ううん!久々にたくさん話せてよかった」
「おやすみ」

妹との会話を満喫した私は、自分の部屋のベッドにダイブして、そのまま意識を失うように眠りについた。


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