昨日泊まっていった大輝にお弁当を渡して見送り、私も学校へと向かった。覚えることが沢山あり過ぎて頭を抱えたくなるのは毎日のことだが…目標を思い出せば自然と頑張ることができた。何としてでも三月の国家試験に一発で合格しなければいけない。
「ナマエちゃん何か疲れてない?」
「まあ…バイトのせいかな」
「カフェ?忙しいの?」
「ううん、もう一個新しいところ行ってて」
「そうなの!?すごいね…大変じゃない?」
「大変だけど無理できるのも今の内かなって」
学校での勉強が役に立たないわけではないが、海常でのバイトは実践練習になるからとても有り難い。同じ箇所の筋肉でも人それぞれ個性があって、それに応じてケアの仕方も変わってくる。大輝の体だけ知っていたって他の人との違いがわからなければ、ケアすべき部分を見逃してしまう可能性もある。
「新しいところってなにやってんの?」
「高校生のバスケ部のサポーターみたいな」
「え、外部から入れるって強豪?」
「まあ」
「っていうか知り合いがいるところだよね」
「うん」
「ってことは…キセキの世代?」
「すごい推理力」
「え〜!羨ましい!!」
「でしょ、また実技の点数上がっちゃう」
「ずるいずるい!」
私の席の横で大騒ぎしているのは、いつも飲みに行くグループの子だ。この子はキセキの世代のファンらしい。
「もうすぐインターハイの予選あるんでしょ?」
「本大会は夏だから、その前からかな」
「観に行ってみたいなぁ」
「予選は平日にやったりするから難しいかも」
「そうなんだよね〜」
私は今までバスケには極力関わらないようにしてきたから大きな大会の概要などほとんど知らないが、きっと涼ちゃんが教えてくれるだろう。大輝はきっと後からさつきに聞けばいいやって自分では聞かないんだろうな。
「…ねえ、いきなりだけど…五歳年が離れた人から告白されたらどうする?」
「五歳かぁ…上だと結構おじさんだよね、下だと子どもだし…考えちゃうな」
「そうだよね。離れ過ぎてるよね」
「なになに好きな人できたの?」
「知り合いの話。私は高校卒業以来彼氏なんかいないし」
「え?勿体無い!合コンでもする?」
「はは!いいかも」
帰り支度をしながら適当に話に相槌を打って逃げるように教室を出てバイトに向かう。余計なこと考えている暇があったら働いて将来のためにお金を貯めたい。
カフェについてホールに出て早々こちらでも「疲れてるでしょ」「元気ないね」などと言われたが、だからと言って急に代わることができるバイトなんていないので聞き流しながら仕事を続ける。いつも涼ちゃんが使っていた席には別の常連客が座っている。彼は今ごろ海常で火神くんのことを思い出しながら練習に力を入れているだろう。無理してなきゃいいけど。
バイトから上がると笠松くんからメールが来ていた。珍しいこともあるなと思い内容を確認すると、本来ならこの間の部活の時に確認するはずだったのだが忘れてしまっていたので、今週末から入るGWの合宿の出欠を取りたいとのことだった。祝日だから学校は休みだが…問題はカフェのバイトだ。ここでバイトをしているのは私のような学生がほとんどで、他の子だってGWは休みたいだろうし…私ばかり休んでしまって良いものだろうか。
「店長すみません、少し相談があって」
「桃井さん、どうしたの?」
「急なんですけど来週の五日までの間、お休み貰えないでしょうか」
「…何か大事な用事?」
「実は今知り合いに頼まれて土日限定で高校のバスケ部のサポーターしてるんです。それでインターハイに向けて合宿があるらしくて、それに参加したくて」
悩みながら店長に相談すると、快く受け入れてもらえた。二年間ここで働いていて知らなかったのだが店長はスポーツ好きだったらしい。
「ありがとうございます!」
「合宿での話聞かせてね」
「是非!」
休みを確保したあと笠松くんに参加する旨を伝えると、ありがとうございますと返信が来た。それからすぐに涼ちゃんからの着信。
「ナマエさん!来てくれるんスね!」
「うん。カフェの店長に休み貰えたの」
「やった!男だらけの合宿とか楽しくないッスもん!ナマエさんいるなら頑張れる!」
涼ちゃんがそこまで言ったところで「いてぇ!!」と叫び声が聞こえた。きっと笠松くんの飛び蹴りが炸裂したんだろう。
「もう部活終わったの?」
「さっき自主練終わったところッス…ああ痛ぇ」
「早く帰ってお風呂で体温めてマッサージしてね」
「はーい。ナマエさんは今帰り?」
「うん」
「もう暗いから気をつけて下さいね」
「ありがとう」
携帯片手に家までの道を歩く。街灯は多く夜道が怖いわけではないが、帰ってもひとりだということを考えると少し寂しくなった。
帰って食事を済ませ、お風呂に入って洗濯機を回し課題をこなす。そして明日の予習を少し。ベランダに干しっ放しになっていた洗濯物に気づいて慌ててそれを取り込んで、洗ったばかりの洗濯物を干す。当たり前のように大輝の洗濯物があって嬉しくなるのだった。
「ナマエちゃん何か疲れてない?」
「まあ…バイトのせいかな」
「カフェ?忙しいの?」
「ううん、もう一個新しいところ行ってて」
「そうなの!?すごいね…大変じゃない?」
「大変だけど無理できるのも今の内かなって」
学校での勉強が役に立たないわけではないが、海常でのバイトは実践練習になるからとても有り難い。同じ箇所の筋肉でも人それぞれ個性があって、それに応じてケアの仕方も変わってくる。大輝の体だけ知っていたって他の人との違いがわからなければ、ケアすべき部分を見逃してしまう可能性もある。
「新しいところってなにやってんの?」
「高校生のバスケ部のサポーターみたいな」
「え、外部から入れるって強豪?」
「まあ」
「っていうか知り合いがいるところだよね」
「うん」
「ってことは…キセキの世代?」
「すごい推理力」
「え〜!羨ましい!!」
「でしょ、また実技の点数上がっちゃう」
「ずるいずるい!」
私の席の横で大騒ぎしているのは、いつも飲みに行くグループの子だ。この子はキセキの世代のファンらしい。
「もうすぐインターハイの予選あるんでしょ?」
「本大会は夏だから、その前からかな」
「観に行ってみたいなぁ」
「予選は平日にやったりするから難しいかも」
「そうなんだよね〜」
私は今までバスケには極力関わらないようにしてきたから大きな大会の概要などほとんど知らないが、きっと涼ちゃんが教えてくれるだろう。大輝はきっと後からさつきに聞けばいいやって自分では聞かないんだろうな。
「…ねえ、いきなりだけど…五歳年が離れた人から告白されたらどうする?」
「五歳かぁ…上だと結構おじさんだよね、下だと子どもだし…考えちゃうな」
「そうだよね。離れ過ぎてるよね」
「なになに好きな人できたの?」
「知り合いの話。私は高校卒業以来彼氏なんかいないし」
「え?勿体無い!合コンでもする?」
「はは!いいかも」
帰り支度をしながら適当に話に相槌を打って逃げるように教室を出てバイトに向かう。余計なこと考えている暇があったら働いて将来のためにお金を貯めたい。
カフェについてホールに出て早々こちらでも「疲れてるでしょ」「元気ないね」などと言われたが、だからと言って急に代わることができるバイトなんていないので聞き流しながら仕事を続ける。いつも涼ちゃんが使っていた席には別の常連客が座っている。彼は今ごろ海常で火神くんのことを思い出しながら練習に力を入れているだろう。無理してなきゃいいけど。
バイトから上がると笠松くんからメールが来ていた。珍しいこともあるなと思い内容を確認すると、本来ならこの間の部活の時に確認するはずだったのだが忘れてしまっていたので、今週末から入るGWの合宿の出欠を取りたいとのことだった。祝日だから学校は休みだが…問題はカフェのバイトだ。ここでバイトをしているのは私のような学生がほとんどで、他の子だってGWは休みたいだろうし…私ばかり休んでしまって良いものだろうか。
「店長すみません、少し相談があって」
「桃井さん、どうしたの?」
「急なんですけど来週の五日までの間、お休み貰えないでしょうか」
「…何か大事な用事?」
「実は今知り合いに頼まれて土日限定で高校のバスケ部のサポーターしてるんです。それでインターハイに向けて合宿があるらしくて、それに参加したくて」
悩みながら店長に相談すると、快く受け入れてもらえた。二年間ここで働いていて知らなかったのだが店長はスポーツ好きだったらしい。
「ありがとうございます!」
「合宿での話聞かせてね」
「是非!」
休みを確保したあと笠松くんに参加する旨を伝えると、ありがとうございますと返信が来た。それからすぐに涼ちゃんからの着信。
「ナマエさん!来てくれるんスね!」
「うん。カフェの店長に休み貰えたの」
「やった!男だらけの合宿とか楽しくないッスもん!ナマエさんいるなら頑張れる!」
涼ちゃんがそこまで言ったところで「いてぇ!!」と叫び声が聞こえた。きっと笠松くんの飛び蹴りが炸裂したんだろう。
「もう部活終わったの?」
「さっき自主練終わったところッス…ああ痛ぇ」
「早く帰ってお風呂で体温めてマッサージしてね」
「はーい。ナマエさんは今帰り?」
「うん」
「もう暗いから気をつけて下さいね」
「ありがとう」
携帯片手に家までの道を歩く。街灯は多く夜道が怖いわけではないが、帰ってもひとりだということを考えると少し寂しくなった。
帰って食事を済ませ、お風呂に入って洗濯機を回し課題をこなす。そして明日の予習を少し。ベランダに干しっ放しになっていた洗濯物に気づいて慌ててそれを取り込んで、洗ったばかりの洗濯物を干す。当たり前のように大輝の洗濯物があって嬉しくなるのだった。
