「いやー、いい天気!引越し日和だね!」
なんて言いながら窓を開け放つナマエに、カカシは心底嫌そうな顔をした。
「はりきりすぎじゃない?」
「せっかくみんな手伝いに来てくれてるんだからカカシはもうちょっとやる気を見せるべきだと思うんだけど」
「ナマエの言う通りだぞカカシ!青春は待ってはくれない!」
「ま、ガイの青春談議はおいておくとしてもナマエの言う通りだな。俺だって暇じゃねーんだ。さっさと終わらせろ」
「ナマエの頼みじゃなきゃこないわよ、引越しの手伝いなんて」
元々カカシが一人で住んでいた家に、九尾事件のあとナマエが転がり込んだかたちだった。
カカシの家は里の中心部から少し離れていたし、二人が肉体的に成長し、部屋が少し手狭になってきたことから今回引越しを決意した。里の中心部からそう遠くない場所、そして今までよりも少し広い家に。
「だってせっかくの休みなのに」
「それはみんな一緒でしょ!」
「早く終わらせて酒を奢れっての」
「カカシの奢りなのね、楽しみ」
「ちょっと待って。紅に酒飲まれたら俺破産するよ」
「どういう意味よ」
カカシの同期のアスマ、ガイ、紅の三人が引越しを手伝いに来てくれている。なんだかんだ皆優しくて、いつも彼ら二人のことを気にかけてくれてありがたい存在だ。ナマエにとってはみんな兄や姉みたいな存在である。
「ナマエ、カカシったらいつもこんななの?」
「いつもこんな感じ」
「はぁ…あなたも苦労するわね」
「紅の想いに気付かないアスマよりマシかもよ?」
「まあ、それもそうかもね」
少しだけ年齢が若いナマエから見ても、アスマと紅はお互い好き合っているのにアスマがどうも煮え切らないようだ。見た目だけはすごく男らしいのにどうしたものか。
「ねえねえアスマ」
「お?なんだ」
「紅に早く告白しないと誰かに取られちゃうよ。紅ってばすっごい美人だから」
「な、お前ガキのくせに余計なこと言ってんじゃねーよ!」
「ちょっとアスマ俺のナマエ虐めないでよ」
「カカシ!お前ナマエをちゃんと教育しやがれ!」
「へへ、怒られちゃった」
「無駄話してないでちゃっちゃとやろーよ」
「お前がいうな!」
遠くでガイが一人でせっせと荷物を運んでくれている。あまりに申し訳なくてどうにかカカシにやる気をださせて頑張らなければとナマエは彼の尻を叩いた。
「終わった…」
「結構疲れたわね…」
「みんなありがとう!」
半日かけて引越し作業が終わった。
カカシの奢りで飲みに行こうという話になっていたけれど、引越し作業で疲れ果ててしまい移動が面倒くさいという結論に至りそれはまた後日ということに。
「新居で迎える初めての夜だからってはしゃがないのよ、カ・カ・シ」
「俺のことはいいから君はもうちょっと頑張りなさいよ」
「だから余計なお世話よ」
「おい、紅帰るぞー」
「ほらほら旦那が呼んでる」
「そんなんじゃない!」
「よし、では俺も帰るとしよう。明日こそ熱き勝負をするぞカカシ!!」
「じゃんけんなら乗るよ」
「みんなありがとねー!」
間も無くしてみんなが帰って行き、新しくて広い部屋にナマエとカカシは二人きり。
「広いね」
「うん。なんか寂しいね」
「俺がいるでしょ」
「うん」
「なに?前の家が良かった?」
「ま、そっちの方が思い出も多いけど。これからたくさん思い出作ろうね!」
「そうだね」
二人はここから新たな生活を始める。