「お前、またナルトの様子見に行ってたの?」
「だって気になるんだもん」
「もんじゃないの。里の大人がなんのために黙ってるのか理解しなよ。ナルトのためだ」
「ナルトのためナルトのためってみんな言うけど、実際あの子がどれだけ寂しい思いしてるか…」
生みの親と育ての親を亡くしたナマエだが、彼女にはそばに居てくれるカカシがいる。事情を知っている里の大人たちがいる。それに、ナルトがいる。しかしナルトは違う。四代目火影であるミナトが里を守る為にナルトに封印した九尾の存在おかげで白い目で見られ、周りには誰もいない。ナマエという姉がいることも知らない。自分は天涯孤独だと思っているに違いないのだ。違うよ、お姉ちゃんがいるよ、ナマエがそう言ってあげたいのに、それは決して許されない。
「イタチー」
「ナマエさん」
「今日も弟と修行するの?」
「ええ、最近忙しくて中々構ってやれなかったので。」
「そっか…」
「ナマエさんも来ます?」
「え!いいの?」
「ええ。サスケも喜ぶと思います」
「じゃあ、お言葉に甘えて…」
「甘えないの。やめなさいナマエ」
「なんでよ、カカシのケチ」
「お前ね、さっき俺が言ったこともう忘れてる?サスケとナルトは同級生でしょうが。少しでもナルトに近寄るようなことは…」
「…わかったよ」
「ナマエさん、また今度、その…」
「イタチは優しいね」
ナマエとイタチは年もそう変わらない。そしてイタチの弟とナルトは同い年だ。それなのに彼ら兄弟とナマエたちはこんなにも違う。
*
「ん、アイス半分食べる?」
「え…?姉ちゃん…誰?」
「誰でもいいじゃない、木の葉の仲間」
「なんで俺にそんなんくれるんだってばよ」
「んー、なんでだろ?」
「姉ちゃん変なの」
一人寂しそうに公園で黄昏ていたナルト。
これがナマエとナルトとの初めての会話だった。
ああ、大きくなったね、ナルト。お姉ちゃんだと名乗れなくてごめんね、寂しい思いをさせてごめんね。でもね、私はいつでもちゃんとあなたを見てるよ。と彼女は伝えられない言葉をぐっと飲み込むのだった。