cold それでもいい―― と 思った。 家には戻りたくない、 今は。 彼と同じときを過ごしていられるならその方がいいに決まってる。 それに、 彼は――――違う、 気が、した。 話に聞いた少年とは違う、 気がする。 少なくとも彼の耳は氷柱のように鋭くとがってなんかいないし、 瞳はいつも琥珀玉みたいに柔らかくてあたたかい光を灯しているし、 それに、 それに… 彼のからだは冷え切ってなんていない。 私は彼のからだの優しいぬくもりを知っている。 彼の心に宿る心地のいい熱を知っている。 だけど、 彼は……ふしぎだ。 吸血鬼、なのかもしれない。 私の知る誰とも、 どんな動物とも、 なにか、違う…感じがする。 彼は…吸血鬼、なのかもしれない。 それでも、いい。 ううん、 そんなこと、どうだっていいの。 私はそんな"彼"を… ウィルを… 好きになってしまったのだから。 |