cold 森には少年が住んでいて、 それは美しくも恐ろしい吸血鬼なのだ―― と聞いたことがある。 少年はその完璧な容姿でヒトを虜にしては、 夜な夜な熱を奪い、 生き血をすすり、 明日の生を得ているのだと。 少年はその冷えきった躯に熱を取り戻すために、 その渇いたのどを潤すために、 宝石のように冷たく輝く瞳をこらして、 氷柱のように鋭くとがった耳を澄ませて、 森のなかで息をひそめ、 静かに… 静かに… まるで、眠っているかのように… まるで、そこに存在しないかのように… わたしたちの 古き血と肉を 待っているのだと―――― |