珍しく、目覚まし時計が鳴る前に起きてしまった。
というか、起こされた気がする。
朝からぎゃあぎゃあ、と騒ぐ2人によって。



「だから!あの絶対領域がたまらないんだ、と言っているだろう!なぜあの良さがお前にはわからないのだ!」


「あれよりも絶対生足の方がいいです」


「っ、朝からどういう会話してるの!!」



あれ、パンツ起きたんですか!、と言うのはメフィスト・フェレス。
私の通っている正十字学園、祓魔塾で理事長、塾長をやっている一応お偉いさん。
後に続いて、おはようございます、と私に声をかけるのは理事長の弟で悪魔のアマイモンだ(なぜかなつかれてしまった)。



「パンツ、今日は早いお目覚めですね!」


「2人に起こされたんですけどね。その前に、なんでいるんですか」


「ところで、今日は二―ハイ履いていきますよね?」


「……理事長、言葉のキャッチボールって知ってます?」



理事長との会話が成り立たない。
呆れているとアマイモンがそこに口を挟んできた。



「パンツ、二―ハイなんて履かないでくださいね」


「は?」


「僕は生足派です」


「訳が分かりませ…ひゃっ」



訳が分からない。そう答えようとしたのに、遮られてしまった。
アマイモンは被っていた布団をめくり、私の足へと口づける。
太ももからふくらはぎ、隅々までキスの嵐。時々、ちくっと小さな痛み。
かああっ、と顔が赤くなるのが自分でも分かった。
ぐいぐい、とアマイモンを退かそうとするも、力の差は明らかなわけで。
びくともしないアマイモンは少しだけこちらを向いた。



「生足は跡がつけやすくて良いですね」



そう、妖艶に少しだけ笑うアマイモン。
ああ、もう駄目だ。そう思ったとき、あのびくともしなかったアマイモンがべりっ、と何者かに私から剥がされた。



「まったく貴様は…」


「理事長!」


「兄上!」



それは、理事長だった。
理事長はアマイモンの首根っこを掴むと、ぺいっ、と部屋の外へと出してしまった。扉の向こうからアマイモンが扉を叩いているが無視、だ。
理事長は何やら満足気な顔をしてこちらへ近づいてきた。



「ちょ、何近づいてんですか…!」


「ああ、こんなにもアマイモンに跡をつけられて…それでは学園へは行けないでしょう。さ!これで隠しましょう!」



そう言って私の目の前に二―ハイを出す理事長。




「ニ、二―ハイは今日は嫌です!」




ぶんぶん、と首を振る私。




「あれ、自分では履けないですか?じゃあ、私が履かせてさしあげます!」



「話聞いてました!?ちょちょちょ、まっ…!」









ある朝の日のことでした。









二―ハイvs生足
(結局今日はタイツを履いて行きました)



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