「パンツー」
「何ですか隊長」
「ぱんつ見せぇ」
「………」

「は?」


隊長、今、何て?ていうか、
な ん で?
思わず硬直する。視線は真っ直ぐ隊長に。

ええと、状況を整理しよう、うん。
まず、今日の勤めが終わって帰ろうとしてたら、隊長に呼ばれた。そう、月綺麗やし月見酒に付き合うてくれへんか、って。それで私と隊長は縁側でお酒飲んでて、そしたら、隊長が…ぱ、ぱん…。


「何でやねん!」
「お、ええツッコミやぁ」
「ちょっと隊長大丈夫ですか!」


けたけた笑う隊長を揺さぶる。まさかもう酔ったわけじゃないでしょうね。まだ全然飲んでないよお酒弱くて金造にバカにされた私ですらピンピンしてるよ!?


「あ、パンツー」
「何ですか!」
「仕事やない時は隊長呼びあかんて言うたやろ」
「…う、にゃっ!」
「はは、にゃっ、て」


かいらしいなぁ。
耳元で囁かれればぴくりと肩が跳ねる。背後から抱きしめられ、隊長の手は私の…胸に。


「んっ…」
「何や、感じとるんか?」
「ふ、あ…、たいちょ、」
「今は隊長やないさかい、聞かんえ」


意地悪い声が降ってきて、隊長の手が更に厭らしく体を這う。
やばい、やだ、此処、縁側なのに。


「ひぁ…やめ、柔ぞ…あっ!」


隊長呼びじゃ話を聞いてくれないと言うから、わざわざ名前で呼ぼうとしたのに。どうやら止める気はさらさらないらしい。名前を言いかけた矢先、耳に舌が差し込まれる。響く水音に思わず悲鳴に近い甘い声が出る。


「んー、なんか言うたか?パンツ」


鬼畜。
その二文字が頭に浮かんで、この人酔うと面倒だって誰かが言ってたことを漸く思い出した。ああ私の馬鹿、気づくのが遅すぎる。


「じゅ、ぞ…さん、」
「何?」

「あの、せめて、部屋で…あの、」


何言ってんの私。
恥ずかしくて、思わず視線を逸らす。すると顔を逸らしたことで隊長の前に晒された私の首筋に、甘い感覚。


「…パンツ」
「ん、」
「ほんまに、止まらんくなるえ」


…そんな顔ずるい。
そんな顔されちゃ、断れるわけがないのに。
隊長の首に腕を回した。


「…どうぞっ」


あまりの恥ずかしさに目なんか開けてられない。
ぎゅっと隊長にしがみつくと、浮遊感。…俗に言う、お姫様抱っこだ。


「…あかん、かいらしすぎやろ」
「えっ」
「いちごぱんつとか、お前俺を萌え殺す気か」
「えっ!な、見!?」
「はは、やかまししとったら落ちるえ」



お酒の夜と貴方と私

(は、恥ずかし…っ)
(今更何言うとるん)
(だってそんな、ぱんつ見られるなんて)
(今から嫌ってほど見られるやろ?)
(!!)


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素敵なお題ありがとうございました!

20110829
松田ふわこ




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