お風呂上がりの女性は色っぽい、彼はそう言うが、私としてもわからなくはない。例えば頬に張り付く濡れた髪だとか、蒸気した身体だとか。これ以上例を上げると、私も彼みたいな変態と思われてしまうから、もう考えるのはやめよう。

「何、すんの・・・!」
「そんなこと言わんといてや。あ、風邪ひいたら俺が看病しまっせ」
「もう、どうでもいいから退いてよ」

先程まで、志摩の部屋で軽い談笑をしていたのだが、それが一変、彼が飲みかけの水を私に振りまき、その勢いのまま私を押し倒してきたことにより、すべてが狂った。
なぜ、そんなことをしたのか。聞いてみれば、なんとなくと返され、それでも、馬乗りの状態で上から微笑んでいる彼を見れば、そういうことをしたかったんだろうとすぐにわかった。

「服、透けてるやん」
「み、見ないで!」
「えっろ・・・」

身体に張り付く制服、その上から志摩がブラジャーの形に沿うように指でなぞる。思わず零れた熱を含んだ声に、にやりと笑った彼を見て見ぬふりをして足をバタつかせるが、そんな抵抗は皆無であった。

「今、すごくやらしい顔しとるで」
「なっ・・・!気のせい、だから」
「なあなあ、このまま、やろうや」

志摩が言うやろう、がどういう意味のやろうかわかっている。涙目になりながら、嫌だと訴えても、それは彼を煽っただけで、首を伝っていた水滴を一舐めされた。

「ひっ・・・」
「こんなんで感じてたら、後がもちませんえ」
「だ、だから!私はやらないって、言ってる、で、しょ・・・」

言葉が、だんだんと尻すぼみとなって、最後には消えていった。
色っぽい。私のように濡れてさえもいない彼が、妙に大人の色気を醸し出していて、どこか余裕に見えるのに、早く、とせがんでいるような、その、表情。

私の太ももを撫で始める彼の手が、次第にエスカレートし、1枚の布へと到着した。

「なあ、ええやろ?」
「・・・いい、よ」

私の返事を聞くと、ふにゃりとした笑顔を見せた彼は、布から手を離すと、両手で私の頭を固定し、俺、酸素吐きだせるんよ、なんて言って、唇を近づけてきた。

二酸化炭素の交換
そんな彼に抵抗する気なんて、最初からなかったのかもしれない




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