「ただいまー」
「お帰り。今洗濯物干してるからちょっと待ってね!」
「…え。」

自分の目を疑った。
付き合って1ヶ月。手を繋いだりするのにも一々顔赤くして、まだ慣れへんキスをする仲。やけど、今日はパンツが泊まりにきた。ほんまは一日中イチャコラするつもりやったけど、緊急で入った仕事で俺はパンツに家を任せて出かけた。長引いた仕事から帰ってきた俺視界に映ったのは、

「パンツ…?その格好は、」
「あ。コレはね、買い物行った時に雨にあたっちゃって…金造のTシャツ借りちゃった。ごめんね?勝手に借りて」
「あ、それはええんやけど、下履いて…る?」
「履いてないよ。だってコレおっきいからワンピースみたいだもん。下着もつけなくて大丈夫なんだよ!!」
「ぶふぉっ」

ひらひらとTシャツの裾をはためかすパンツ。
俺は元気になってきた金造Jr.を必死に理性で抑える。落ち着け俺。

「あ!!ごごごめんね、雨降ってたから濡れてるよね?」
「あー。すぐ乾くさかい、大丈夫やで」
「今お風呂いれるから!」

パタパタとせわしなく走る嫁(?!)を眺めながらほっこりと和む。結婚したら毎日こんなんやろか。幸せやなあ…。

「うぎゃあああ??」
「な、パンツっ?!」

パンツの悲鳴に、思わず風呂場に駆け付けた。

「冷たかった…。あ、ごめんね!間違ってシャワーの蛇口ひねっちゃって…」
「…」
「そのまま水かぶって…金造?」

腕を引っ張り、そのまま抱き寄せる。服は既に雨で濡れていたけど、びしょ濡れのパンツから冷たい水を吸い取るように俺の服も冷えていった。

「ぬ、濡れてるよ、金造?ああああのっ、」
「ごめん。俺、」

水気を含んだ髪、濡れてボディラインをくっきりと示すTシャツ。
やばい、もう止まらへん

「パンツのこと、抱きたい…っ」
「へ、?あ、…(そ、そういうことか…)」
「ぷ。顔赤」
「だって、金造がっ」
「なァ、ええ?」
「は、恥ずかしい…っ」
「嫌?」
「い…っ、嫌じゃない、よ!」

力いっぱい細い腕で抱きしめ返しされる。
その時、確かに俺はパンツの胸の感触を感じとった。

「ベッド行く?」
「でも、濡れてるし…」
「え。お風呂プレイ?マニアックやな」
「ち、違う!金造のバカっ!!」
「嘘やて。ほんま、かいらしいなあ」


ABC

(何事も順序とか大切だけど、時には踏み外すのも悪くない。)




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