最近陰ながら興味を惹かれていることがある。
「またナツとクエスト行ってきたんだって?」
『うん、ウェンディも一緒だったけど。』
「ステージでの出し物に、滅竜魔導士が最適だったんですよ。」
グレイの問いにウェンディが苦笑しながら答える。聞いた話によると、戦隊モノで炎や風、水を操る悪役として参加を依頼されたみたい。
口からそれが出るんだから、ピッタリっちゃピッタリの仕事だったんだと思う。私も置いていかれたからちょっと寂しかったけど…。
「また行こうなァ!」
「次は俺とだろ!」
何も言わないハルを置いて、なぜかナツとグレイが、次ハルがするクエストを争っている。
これが私の興味があること。
ハルを巻き込んだ三角関係。
二人に脈がないわけではないけど、ハルは誰にでも優しいから、はっきり言って私にはわからない。でも明らかにナツとグレイには、他の仲間と接し方が違うと思うんだよねぇ。
「なぁ、行くだろ?」
「ハルが決めろ!」
『うるさい、今日帰ってきたんだからすぐ行くわけないじゃん。』
スッパリと二人を切り捨てる。
何とも気持ちがいいほどに。
「グレイ様!私が一緒に!!」
いつの間にか上の服を脱いでいるグレイに、ジュビアが擦り寄る。もちろんそれを相手にせず、ナツと拳を交えるグレイ。
それでもジュビアは満足そうではあるけど…。
『ねえ、ミラ。ラクサスは?』
「んー?さっきまで上にいたと思うんだけど。」
水を飲みながらミラさんに声をかけるハル。二人のことなんて気にもとめてない。
そして、出てきた名前はラクサス。
やっぱりハルにとってラクサスは特別なのかしら…。
ハルは『ふーん。』と答えながらも、ストローを咥えてじっと二階を上目遣いに見やる。ハルはクエストから帰ると、高い確率でラクサスの居場所を確認してるみたい。
現にこうしてミラさんに確認をとるところを見るのは、初めてではないから。
「……やっぱり本命はラク…
『ルーシィ?』
……っキャ!?」
ぼーっと考えていると、いつの間にか隣に座っているハルに、思わず短い声を上げてしまう。
「な、何!?」
『さっきからずっと見てるから、どーしたのかなって。』
ふわりとした笑顔を向けられて、思わずキュンとしてしまう。やっぱり女の私から見ても、ハルは魅力的よね。
ミラさんにオムライスをお願いするハルは、もうナツやグレイのことなんて忘れてしまっているみたい。二人が決闘だなんだと、ギルドを出て行くのにも気づきもしない。
「ハル、いいの?あの二人は。」
『ん?いつものことでしょ。』
「そうだけど…。」
きょとんと目をまるくするハルに、思わずため息が出ちゃう。何とも二人が不憫に思えて。
「ねぇ、ハル。ぶっちゃけどうなの?」
『何が?』
「ナツとグレイのことよ!どっちが好きなの?」
『どっちも好…
「恋愛としてよ!」
……れんあい?』
どっちもなんて答えが出ることなんてわかってた。少し強めに言い過ぎたかしら?大きな瞳は何度か瞬きをするけど、ぼーっと私を見つめてる。
「ちょ、ちょっと…ハル?」
『…っ!れ、恋愛なんてわかんないし!ルーシィはわかるの!?』
「え?えっ!?何をよ!」
『恋愛の好きっ!!』
「それは…っ!」
「何騒いでんだァ?ハル。」
その声に素早く立ち上がるハルは、ぱあっとわかりやすく表情を明るくする。嬉しそうなそれに、私の胸はまた高鳴った。
『ラクサス!いたの?』
「帰ってきてたのか。」
ラクサスはもう慣れちゃってるのか、ハルのそれを見ても何の反応もない。てゆーか、ラクサスがハルにだけは甘々なのは、意図的なのかしら?…まさか無意識?
それよりも!!ハル!
その反応こそナツとグレイが求めてるものじゃないの?!
「ルーシィ。ハルたちの関係でルーシィが悩んでもしょうがないわよ。」
思わず頭を抱える私に、ミラさんが笑いながら声をかけてくれる。
「だってあの子を含め、みんな分かってないんだから。」
「ミラさーん…。」
「長い目で見なきゃ。意外と面白いわよv」
由良のとを
(渡る舟人 かぢを絶え ゆくへも知らぬ 恋の道かな)
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