「ハルちゅわぁーん!!出来たよぉーん!!」
今日のおやつを出せば、彼女は少しだけ嬉しそうに頬を緩める。それが可愛くて可愛くて、おれの頬もムズムズと緩まるのがわかる。
もちろんナミさんやロビンちゃんも、それぞれ魅力的だ。
だけど、なんだろう。
今まで出会ったどの女性にも感じたことのない特別な感情が、彼女に対してあるのはわかっていた。
『…美味しい、今日も。』
「ありがとう。」
その言葉だけで胸がキュンと高鳴る。興奮度で言えば、もちろん今までは心臓が飛び出すほどの、胸の高鳴りを覚えたこともあった。
けど彼女に対しては、そこまでの興奮はなく、ただ胸が詰まるんだ。
「そっちの方が苦しいんだけどね。」
『…どうした?』
「何でもないさ。」
おれの答えに『ふーん。』と漏らしながらも、ジュースのストローに口をつける。その大きく丸い空色の瞳をおれに向けながら。
その瞳を見ているといつも思う。
君はいつか消えてしまうのかい?って。
こんな気持ちを覚えてしまった僕を置いて。
君に会わなければ、こんな幸せで切ない気持ちを知ることなんてなかったのに。
教えるだけ教えて、突然消えたりなんてしたら。
それはとっても非情だよ。
あひ見ての
(後の心に くらぶれば 昔はものを 思はざりけり)
← :
→