06


 








―――ドゴォオオ



地を揺らすほどの爆風と爆煙に誰もが目をつぶる。

ハルはその隙にとエンジェルの背後を捉えたが、突然脇に受けた衝撃に表情を歪めた。


『……な…っ』

「やってくれるな…、水竜(ウンディーネ)。」

『…ちっ』

舌打ちをしたハルは脇腹を抑えながらも何とか立つ。目の前に立つのは攻撃を受けたはずのブレイン本人。



「ゴミ共の攻撃など大したことはない。」

『貴様…っ!』

「どうする?残ったのはうぬだけだ。」

『……そんな!?』


振り向けば彼の言う通り、ハルを除く連合の面々は地に伏せ呻き声をあげていた。



「まだまだ甘いな、水竜よ」

『……っ!?』

気をとられていた隙に、コブラの毒蛇に巻き付かれたハル。身動きの取れない彼女に近づいてきたのは二匹の人形。


「ピーリピーリ」

「コピーをもらうゾ」

『……っ』



目の前に現れたもうひとりの自分に目をまるくする。相手はにっと笑うとまるでハルのように息を吸い込んだ。


『…まさか』

「水竜の咆哮!!」

毒蛇はすっと素早くハルから離れ、ハルひとりが渦巻く流水に巻き込まれる。



『……かは…っ』





「ハル…っ」

地に伏せたグレイやナツが彼女の名を呼ぶが、岩に叩きつけられたハルはまるで動きはしない。



「ゴミ共め、まとめて消え去るがいい…」

「ま、まずい…」


「常闇回旋曲(ダークロンド)…っ!?」



目を見開き魔法を止めるブレインに、コブラやエンジェルが不審に見やるがそれすらに答えない。


「ウェンディ…!」

「ひっ…」

名前を呼ばれたのは岩影に隠れていたウェンディ。側にいたアイスやハッピーはぐっと身構える。



「間違いない、ウェンディ。天空の巫女だ」

わけもわからずしゃがみこむウェンディだが、構わずブレインは持っていた杖を前に出した。それから出てくる触手がウェンディを捕らえる。


「こんなところで会えるとはな…。これは良いものを拾った」

『ウェンディは物じゃない…っ!!』



いつの間にかふらっと立ち上がったハルが地を蹴ると同時に、ホットアイの魔法によって地面が大きく揺れた。

『アイス!!…ぅあっ』

「うん!」


倒れこむハルの声にアイスはウェンディの手を掴む。どこかホッとした表情をみせるウェンディ。そして何故かハッピーまでもアイスの尻尾を掴み、ブレインの杖へと吸い込まれてしまった。





「うぬらにもう用はない。常闇回旋曲(ダークロンド)!」


襲い来る攻撃に伏せる面々。咄嗟に気を失ったハルに手を伸ばすナツとグレイ。ハルを庇うように寄り添う。







「岩鉄壁!」


頭上を覆う強固な岩岩。攻撃を防いだそれは遅れてきたジュラによるものだった。



顔を上げればもうその場に六魔将軍はおらず、連合軍のメンバーには彼らの圧倒的な強さに恐怖が植え付けられていた。









六魔将軍の狙い









 



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