▼ 06
―――ドゴォオオ
地を揺らすほどの爆風と爆煙に誰もが目をつぶる。
ハルはその隙にとエンジェルの背後を捉えたが、突然脇に受けた衝撃に表情を歪めた。
『……な…っ』
「やってくれるな…、水竜(ウンディーネ)。」
『…ちっ』
舌打ちをしたハルは脇腹を抑えながらも何とか立つ。目の前に立つのは攻撃を受けたはずのブレイン本人。
「ゴミ共の攻撃など大したことはない。」
『貴様…っ!』
「どうする?残ったのはうぬだけだ。」
『……そんな!?』
振り向けば彼の言う通り、ハルを除く連合の面々は地に伏せ呻き声をあげていた。
「まだまだ甘いな、水竜よ」
『……っ!?』
気をとられていた隙に、コブラの毒蛇に巻き付かれたハル。身動きの取れない彼女に近づいてきたのは二匹の人形。
「ピーリピーリ」
「コピーをもらうゾ」
『……っ』
目の前に現れたもうひとりの自分に目をまるくする。相手はにっと笑うとまるでハルのように息を吸い込んだ。
『…まさか』
「水竜の咆哮!!」
毒蛇はすっと素早くハルから離れ、ハルひとりが渦巻く流水に巻き込まれる。
『……かは…っ』
「ハル…っ」
地に伏せたグレイやナツが彼女の名を呼ぶが、岩に叩きつけられたハルはまるで動きはしない。
「ゴミ共め、まとめて消え去るがいい…」
「ま、まずい…」
「常闇回旋曲(ダークロンド)…っ!?」
目を見開き魔法を止めるブレインに、コブラやエンジェルが不審に見やるがそれすらに答えない。
「ウェンディ…!」
「ひっ…」
名前を呼ばれたのは岩影に隠れていたウェンディ。側にいたアイスやハッピーはぐっと身構える。
「間違いない、ウェンディ。天空の巫女だ」
わけもわからずしゃがみこむウェンディだが、構わずブレインは持っていた杖を前に出した。それから出てくる触手がウェンディを捕らえる。
「こんなところで会えるとはな…。これは良いものを拾った」
『ウェンディは物じゃない…っ!!』
いつの間にかふらっと立ち上がったハルが地を蹴ると同時に、ホットアイの魔法によって地面が大きく揺れた。
『アイス!!…ぅあっ』
「うん!」
倒れこむハルの声にアイスはウェンディの手を掴む。どこかホッとした表情をみせるウェンディ。そして何故かハッピーまでもアイスの尻尾を掴み、ブレインの杖へと吸い込まれてしまった。
「うぬらにもう用はない。常闇回旋曲(ダークロンド)!」
襲い来る攻撃に伏せる面々。咄嗟に気を失ったハルに手を伸ばすナツとグレイ。ハルを庇うように寄り添う。
「岩鉄壁!」
頭上を覆う強固な岩岩。攻撃を防いだそれは遅れてきたジュラによるものだった。
顔を上げればもうその場に六魔将軍はおらず、連合軍のメンバーには彼らの圧倒的な強さに恐怖が植え付けられていた。
六魔将軍の狙い
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