▼ 05
「6人まとめてオレが相手してやらァ!!」
『なんであたしまで…っ』
作戦会議が終わるや否や走り出すナツ。片手には何故かハルを掴んで。そしてハルはちゃっかりアイスを抱えていた。
「待てよ、ナツ!せめてハルは置いていけ!」
後を追う羽目となったグレイやエルザに続き、ルーシィも嫌々泣きながら走り始める。
「勝手に突っ走るな!」
「エルザもオレに先とられんのが嫌なんだろ?」
「何だと!?」
「ひっ…」
あまりの剣幕に飛び上がるとそのまま崖から落ちていくナツ……とハル。
『ナツ!手ェ離してよー』
「悪ィ〜!!」
「いってぇ…」
『最悪……ん?』
ふらふらと走っていくと大きな影がハルたちを覆う。グレイたちも追い付き空を見上げると、魔道爆撃艇クルスティーナが空を飛んでいた。
誰もが巨大な爆撃艇に期待したその時。
――ボゴォオオ
「クルスティーナが!?」
攻撃を受けるクリスティーナ。あまりに突然の出来事に目を見開く面々。
『「……っ…」』
鼻をひくつかせるハルとナツが、目を鋭くし周囲を警戒し始める。
「おい…」
『うん』
「誰か来たぞ!気ィ抜くなよ!」
グレイの呼びかけに身構える。爆炎の中から現れたのは、まさに探していた六魔将軍(オラシオンセイス)だった。
「ふん…。蛆どもが…、群がりおって」
『………』
ブレインの一言に眉を寄せるハル。あからさまに怒っているのが見てとれる。
「まさかそっちから現れるとはな…」
『誰が蛆?人間何ですけど…』
エルザに続くハルを見て、ナツとグレイがにやりと笑った。
「おい」
「ああ、うちの姫様もご立腹だしな」
「「探す手間が省けたぜェ!!」」
同時に飛び出す二人だったが背後に現れたレーサーに容易に蹴り飛ばされてしまう。
次々とやられていく連合軍のメンバー。
「速ェことは良いことだ…なっ!?」
『……ちっ…』
「レーサー、油断するな」
レーサーの背後をとったハルが蹴りを入れようとするが、コブラの乱入に素早く距離をとる。
「こいつが水竜(ウンディーネ)だ。」
『…なんで?』
「聞こえてんだよ、全部な」
「はぁああ!!」
エルザがコブラに仕掛けるも、全てを容易に避けていた。
『……わけわかんないっ』
「わからなくて良い。おまえも速く地に伏せろ!」
『…っ…』
レーサーの攻撃を何とか受け止めるハルだが、彼は再び仕掛けてくる。
『……ぅあ…っ』
「…な、に?」
腹部を蹴ったレーサーの足がハルの細い腕に掴まれ、自由に動かせない。ふっと笑ったハルの周囲を冷気が漂う。
『水竜の…煌氷』
「がぁあ!?」
自慢の足を氷付けにされ地面に落ちたレーサーに、ハルは軽く舌を出し挑発した。
『地に伏せるのも速いんだね、レーサーは』
「このガキが…っ」
ハルの足はすでに頭であるブレインに向く。
『…っ…!?』
「ピーリピーリ」
素早く飛び退けば、目の前には二匹の人形のような生き物。
「水竜のコピーが欲しいゾ」
『……エンジェル』
不敵に笑うエンジェルを前に地を蹴ると、いっぱいに息を吸い込む。
『水竜の咆哮!!』
「……っ…」
何とか避けるエンジェルだが、それを見たハルはにっと笑った。はっとしたエンジェルがその先を見れば、立っていたのは頭であるブレイン。
ハルの狙いは最初から彼だったのだ。
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