04


 





『あたしあっち行きたい〜』

「おまえはひとりで歩き回るな…」

「おれは騒がしいナツとハッピーのとこ行ってくる」


高級ホテルの地下にあるカジノ。白いドレスを着たハルは、面白くなさそうにグレイの隣で伏せる。



『ルールわかんないもん。グレイ勝ってるの?負けてるの?』

「勝ってんだよ!」





「グレイ様…」


声をかけられ顔をあげると、青いドレスを着た女が恥ずかしがりながら二人の隣に立っていた。

「……おまえはファントムの」


『ファントム…っ』



途端鋭く意識を向けるハルに女はぐっと息を飲む。ただ静かに睨むハルを慌ててグレイが制したのだった。






















『へぇ!ジュビアって水の魔導士なんだぁ!あたしもなんだ!なんか親近感湧くねぇ』

「……ハルさんはとても人懐っこい方なんですね」


オレンジジュースを飲みながらけらけらと笑い話すハルに、初対面であるジュビアは苦笑する。




「ガジルくんと戦った水竜(ウンディーネ)は冷たく凍えるような魔導士だった、とみなさんが言っていたので驚きました」

『あー、あのときはね。けどファントムなくなっちゃったんだね!フェアリーテイルなら大歓迎だよ!ね、グレイ?』

「あぁ…、おまえがそう言うなら誰も拒んだりしねぇさ」


ハルは嬉しそうにジュビアの服を軽く引っ張ると、嬉しそうに続けた。



『今度ね、ファンタジアっていうマグノリアの収穫祭があるの!でね、フェアリーテイルが大パレードするんだけど、あたしたち3人で組もうよっ』

「お、いいな!」

「ハルさん、ジュ…ジュビアはまだフェアリーテイルの魔導士じゃ…」

『あたしのことはハルって呼んで?楽しみだねっ』


全くジュビアの話を聞かないハルだったが、その明るさに思わずジュビアも笑みを浮かべる。




しかし








「フェアリーテイルのグレイ、水竜(ウンディーネ)だな?」

「『……?』」


振り向くとほぼ同時に攻撃を仕掛けられる。間一髪で避けるハルだが、ジュビアは呻き声をあげ横たわっていた。



「ジュビア!」

『あんた誰!?』


目の前に立ちふさがるのは頭にターバンを巻いた巨体の男。鋭く見上げていれば、男は一言問う。



「エルザはどこだ」

「『……っ…』」


目を見開く両者の前にジュビアが立ちはだかる。



「ジュビアがお相手します!お二人とも、エルザさんのもとへ…。危険が迫っています」

「そう、みたいだな」

『…エルザに何の用?』

「教える筋合いはない」


にらみ合う二人だったが、突然大男がこめかみを押さえた。どうやら仲間からの通信で、エルザを見つけたらしい。



『好きにはさせない!』

「…終わらせる」

『な…っ』


辺りが一瞬にして真っ暗になったかと思えば、目の前にあったはずの気配が消える。



「口ほどにもないな、水竜よ…」

『……っ!!』





―――ドサッ












 



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テーマ「人外ファンタジー」
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