05


 







『み、ミストガン?』


突然ぐしゃっと撫でられ顔をあげるが、彼の顔は相変わらず布で隠れており、表情を確認できない。



「気を張りすぎだ。ハルはもっと…」

『…あたしは』

「おまえがそうなったのは、2年前からだ。」

『……絶対…みんなの前で、やられちゃいけない。あたしは…決めたんだ。』


アイスは黙ったまま側に立ち尽くす。





「……。心配せずとも皆無事だ。」

『え…』

「マスターがジョゼを倒した。ギルドは崩れたが、捕まっていた女の魔導士もナツたちが助け出した。」


ぐっと目に涙を浮かべるハルはそれを誤魔化すようにへらっと笑ってみせた。頭に乗っていたミストガンの手をおろすと、アイスに手を伸ばす。

それに気づいたアイスはエーラを出しハルを掴むと、空へと舞い上がった。



『フェアリーテイルが負けるはずないよ!…ミストガンも、お疲れ様。あたしも…頑張るよ!またねっ』

「……ああ」


頭上を飛んでいくアイスにミストガンは目で追った。見えなくなった二人に、自らの手を見つめながら呟く。



「頑張りすぎだってことに…気づけよ」












































ギルドに着くが、ミストガンの言う通りそこには全壊したギルド。海には同じく全壊したファントムロードのギルド。


「みんないるみたいだぞ」

『ま、待って!!』

ギルドの前に出来た人だかりにアイスが降りようとすれば、慌てたハルがそれを制する。



「なんだよ」

『あたし、どんな顔して会えば…』

「馬鹿か。いつもみたいにバカ面さげときゃいいんだよ」

『ま、待ってよ!』


今度は制する声も聞かず、アイスは仲間たちのもとへと降りてしまった。





「ハル!」

「目が覚めたのか!」

「怪我の具合は!?」

「てかもう帰ってきて大丈夫なのか?」


『えと…』



口々に声をかけられ、返答に困るハルを見かねたエルザが前に出る。


「そんなに一度に聞いても答えられまい。」

『…エルザ』

「すまない。」

『え…?』



向き合うなり謝られ目をまるくするハル。もちろんエルザの謝罪の意が読み取れない。


『な、何?どうしたの?』

「ギルドを護りきれなかった…。」

『!?何言ってんの!馬鹿エルザ!!』

「「「!!?」」」



どよっとざわめく一同。今度は彼らが目をまるくしている。


『みんな、護ってくれたじゃん…っ。みんなでファントムロードも倒した!それに…』

ぐっと拳を握りうつむくルーシィに目をやると、アイスがハルを彼女の近くに連れていった。



「あ…ハル」

『ルーシィのこと…みたいだね』

「……え?」

ミストガンの言葉と彼女の様子で、捕らえられていたのがルーシィだと気づく。



『無事でよかった。何も出来なくてごめんね、ルーシィ』

「そんな…っ、あたしのせいで…」

『泣かないで?家族が護れなくて泣きたいのはあたしだよ』


ふわりと寂しげに笑うハルを見て、泣き止むどころかルーシィはより一層泣き始めてしまった。




「ハル、そろそろおれも…」

『あ、うん。ありがとう』


魔力も限界に近づいてきたアイスはゆっくりハルを立たせるとエーラを消し、自身も地に足をつける。



「……ハル…」

『…っ』


背後からの声にびくっと肩を震わす。もちろん誰かだなんてわかっていた。








 



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