03


 






「おまえが水竜(ウンディーネ)か…。来ねぇのかと思ったぜェ」

『家族を傷つけられて、来ないわけないでしょ?黒鋼のガジル』

「水竜なんてただの水だが、相手してやるよ」


「待てよ、ハル!こいつはオレが…っ」



睨み合う両者にナツが声をあげると、ハルが振り向くがその隙を狙ったガジルが先制攻撃を仕掛ける。


「ギヒッ…隙だらけだぜェ」











『…あたしはナツみたいに甘くないよ』


「な……っ!?」



目の前にいたはずのハルは消え、いつの間にか背後をとられている。ガジルは目を見開き振り向くが遅く、ハルはいっぱいに空気を吸った。




『水竜の…咆哮!!』

「……かはっ…」


渦巻く流水のブレスが直撃し壁に打たれるガジル。あまりの威力にふらっと立ち上がる。しかし彼の真下には既に姿勢を低くしたハルが滑り込んでいた。



『水竜の…』

ガジルの腹に手を添える。



『…煌氷!!!』



―――ピキッ…ピキピキッ


「な…何、だと…っ!?」



添えられた腹からガジルは凍っていく。





「水竜(ウンディーネ)は水の魔法じゃねぇのか!?」

「なんでガジルが凍って…っ」


ファントムロードは凍っていくガジルに、驚きを隠せず動揺する。




『水をなめちゃだめだよ…』


「……っ…、だあぁあ!!」



―――ガッシャン


腕が凍る前に自らの腹を鉄の腕で殴り氷を割るガジルだが、ハルからのダメージもあり息は荒い。




『簡単なことなんだよ?水は温度を下げれば氷になる、上げれば水蒸気になる。結局全ては水につながるの。』

「……厄介だな…」

『あんたはその厄介な水竜(ウンディーネ)を敵に回した…。フェアリーテイルを敵に回したんだ!!』


「…チッ!」




ハルの登場にフェアリーテイルは一気に活気づくと、次々と攻撃を仕掛ける。が、それも長くは続かなかった。


「ハル!!」

『……何?』

「そいつはオレが……、…っ!?」









―――ドォオオンッ


すごい勢いで降ってきた落下物。大きな砂煙に全員目を奪われる。




『この臭い…』

「じっちゃん!!」

「なっ、…マスター!?」


いち早く駆けつけたエルザがマカロフに声をかけるが返事はなく、苦しそうに声を漏らすだけ。



『…………』


マカロフに呼び掛ける仲間たち、それに全く反応を示さないマカロフを目を見開き茫然と見つめる。



「隙だらけだぜェ…、今度こそなァ!」




―――ボゴォオオ





「「ハル!!!」」


全く防御をしないまま、ガジルの鉄と化した腕に殴られたハルは、意図も簡単に壁へとめり込んだ。

度重なる信じられない出来事に、動揺を見せ始めるフェアリーテイルの面々。そして逆に活気づくのはファントムロードだった。



「(マスター、ハルまでやられるとは…。戦力だけではなくみんなの覇気が揺らぐ今、……)」


ぐっと拳を握り、意を決したエルザは大声を張り上げる。



「撤退だっ!!マスターとハルがいない今、ジョゼには勝てない!」

悔しげに踵を返し走り出すフェアリーテイルの面々をゲラゲラと笑いながら追いかけるファントムロード。




「ハル!!」

瓦礫の中でピクリともしないハルを、グレイは横抱きにすると先を走るエルザたちを追い、ファントムロードのギルドを後にした。









 



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