03


 





「ここは私に任せろ!」


魔法剣を取り出したエルザが手下たちへと向き合う。



「行け、グレイ。リオンとの決着を着けてこい!」

「大丈夫!あたしたちもいるから、行って!」

「あいっ!」

自信げに言い放つルーシィやハッピー。ハルも笑みを浮かべると、同じように手下へと向き合った。


『いってらっしゃい』

「…ああ」




―――ダッ



駆け出すグレイを見送ると、ハルは笑みを失う。


「どうした?」

『……ん、早く終わらせる』

アイスの問いに答えることなく、敵を見ると深く息を吸い込んだ。




『水竜の……咆哮!!』



口から放たれる流水が竜巻のように手下たちを吹き飛ばす。


「す、すごい…っ」



思わず見とれるルーシィに構わず、ハルとエルザは次々と敵を倒していった。







『こんな雑魚…、エルザ!』

「どうした!?」

『任せていいかな?』

「………」


動きを止めたハルはエルザを見やる。真っ直ぐな意思を持つ目に、静かに微笑みうなずいた。



『ごめん…っ!アイス!!最高速度!!』

「ん!」


アイスに掴まりあっという間に遺跡へと行ってしまうハルを、ルーシィはきょとんと見つめ続ける。




「どうしたの?ルーシィ」

「今…、ハルが…」

「うん?」


唖然とするルーシィは信じられないとでも言うように目をまるくしていた。



「今、ハルが…"雑魚"って」

「うん?」

「嘘よ!あんな可愛いハルがそんな言葉口にするはずないわぁ!!」


ルーシィがぎゃあぎゃあ騒ぎ始めるが、ムチを振り回し敵を倒していることにはかわりないため、エルザもハッピーも何も言わず見守った。
































「死ぬ覚悟は出来ている…、十年前からなっ!!」

「やれよ、貴様に死ぬ勇気はない!あるはずがない!」

「……残念だ…」


「グレイ!!」



十年前グレイとリオンの師であるウルと同じ構えをするグレイ。彼の名を叫ぶナツはその魔法を使えば、術者がどうなるか察知していた。


「(ナツ、エルザ、フェアリーテイルのみんな…、そしてハル…っ!後は頼んだぜ…、悪いが俺はいかせてもらう!!これで終わりだ!!)」

グレイが纏う魔力が上がる。





「絶対氷結(アイスド…)」





―――ゴッ



「……っ…!!?」





直前に殴られたグレイはぽかんと座り込む。殴った本人ナツも荒い呼吸を繰り返していた。


「ナツ!!」

「勝手に出てきて責任だなんだってうるせぇんだよ!人の獲物とるんじゃねぇ!!」

「え…獲物?あいつとの決着をつけさせてくれって言っただろうが!」

「はい了解、なんて言ったかァ?」


結局いつもの言い争いを始めるが、今のグレイはいつもより気が立っていた。ナツの胸ぐらを掴むと、ぐっと引き上げ言い放つ。



「あいつとの決着は俺がつけなきゃならねぇ!こっちは死ぬ覚悟もできてんだ…っ」


―――ガッ



瞬間グレイの腕を掴むナツは、いつになく苛立った鋭い視線で睨み付けていた。


「死ぬことが決着かよ…。逃げてんじゃねぇぞ、こらァ!!」

「……くっ…」






―――コツ……ジャリ…


「………なんでここに?」







 



人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -