▼ 04
『…あれは…あた、しが弱かった……から、かんたん…に揺らいじゃ、だ…めだよ……ねっ。』
「ハルは弱くねえぞ!!なんでそんなこと言うんだよ!?」
必死に叫ぶナツの肩をラクサスが掴む。振り向くナツを引っ張りハルから引き離した。
「何すん…っ」
「おまえ、ちょっと黙ってろ。」
睨みつけるラクサスにナツは息を飲む。
「ハル…。」
『あた…し、負けちゃ…た。みんなの…想いに、こたえられなかった…っ!』
「……おまえはよくやったよ。」
グレイの腕の中で困ったように笑うハル。まっすぐに見下ろすラクサスに栗色の瞳を向けた。
隣に立つエルザ。涙を流すルーシィ。懸命に治癒魔法をかけてくれているウェンディ。しっかりと抱えてくれているグレイ。
そして少し離れた場所に立つナツと、順に視線を送ると下唇を悔しそうに噛み締めた。
『信じて…くれて、たのに…ご、ごめ…っ。』
「ハル…っ。」
"ハルさんが出場してくれるなら、本当に優勝しちゃいそうです!"
"ハルの活躍期待してるわ!"
"何言ってんだよ…。おまえに勝てねぇ俺よりは全然強えだろうが。"
『や…ぱり、…たし……強くないよ…。』
へらっと笑うハル。無理に作られた笑みに、仲間たちは拳を握りしめた。
突然、笑うハルの瞳からぽろぽろと溢れ出る。傷だらけの腕で目元を覆い隠した。
『でも……でも…くやしいよぉ……っ!ギルドを…、馬鹿にされて…何も出来なくて…っ!!』
"あれほど騒がれていた魔導士であったから、期待しておったのだが…。所詮妖精の尻尾の魔導士であったのう。"
『…あ…たし、何も…みんなのために……何もできな…いっ!!』
「そんな…っ!!」
声をあげるルーシィをエルザが止める。
「今は…そっとしておこう。」
「……エルザ。」
腕の下から流れる涙は止まることなく溢れ出ていたのだった。
自らの価値観
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