04










『…あれは…あた、しが弱かった……から、かんたん…に揺らいじゃ、だ…めだよ……ねっ。』

「ハルは弱くねえぞ!!なんでそんなこと言うんだよ!?」


必死に叫ぶナツの肩をラクサスが掴む。振り向くナツを引っ張りハルから引き離した。

「何すん…っ」

「おまえ、ちょっと黙ってろ。」


睨みつけるラクサスにナツは息を飲む。




「ハル…。」

『あた…し、負けちゃ…た。みんなの…想いに、こたえられなかった…っ!』

「……おまえはよくやったよ。」


グレイの腕の中で困ったように笑うハル。まっすぐに見下ろすラクサスに栗色の瞳を向けた。

隣に立つエルザ。涙を流すルーシィ。懸命に治癒魔法をかけてくれているウェンディ。しっかりと抱えてくれているグレイ。


そして少し離れた場所に立つナツと、順に視線を送ると下唇を悔しそうに噛み締めた。



『信じて…くれて、たのに…ご、ごめ…っ。』

「ハル…っ。」




"ハルさんが出場してくれるなら、本当に優勝しちゃいそうです!"


"ハルの活躍期待してるわ!"


"何言ってんだよ…。おまえに勝てねぇ俺よりは全然強えだろうが。"




『や…ぱり、…たし……強くないよ…。』

へらっと笑うハル。無理に作られた笑みに、仲間たちは拳を握りしめた。


突然、笑うハルの瞳からぽろぽろと溢れ出る。傷だらけの腕で目元を覆い隠した。



『でも……でも…くやしいよぉ……っ!ギルドを…、馬鹿にされて…何も出来なくて…っ!!』




"あれほど騒がれていた魔導士であったから、期待しておったのだが…。所詮妖精の尻尾の魔導士であったのう。"



『…あ…たし、何も…みんなのために……何もできな…いっ!!』

「そんな…っ!!」

声をあげるルーシィをエルザが止める。


「今は…そっとしておこう。」

「……エルザ。」

腕の下から流れる涙は止まることなく溢れ出ていたのだった。






自らの価値観










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