▼ 03
「止めんかぁあ!!!!」
「…っ、競技終了〜!!」
マカロフの怒号に慌てて流れるアナウンス。
「ハル!!」
途端に飛び出すナツとグレイ、ラクサス。
「ふん。興が冷めたわ。」
手に持っていたハルの身体を、まるでゴミのように投げ捨てる。
―――ドサッ
「ハル…っ。」
その小さな身体を受け止めるラクサス。
無様な姿だと笑うミネルバに、怒りを露わにするラクサスはハルをグレイへ手渡し前へ出る。
ナツも続いて出るが、それをエルザが止めた。
ミネルバの前にはスティング、オルガ、ルーファスが立ちふさがる。
「その目は何か?妾はルールにのっとり行ったまでよ。」
「最強だかフィオーレ一のギルドだか知らんが、一つだけ言っておく。」
「おめえらは一番怒らせちゃいけねえギルドを敵に回した…!!」
エルザとラクサスの怒りに震える声。ミネルバは構わず笑いながら告げる。
「勘違いしてもらっては困る。水竜をここまで脆く弱い人間にしたのは、そなたたちではないか。」
「ハルは弱かねえぞ!!」
「それがいけぬのだ。」
ナツの荒げる声に間髪いれずに応えた。
「妾は気負わぬ強き水竜と、対することを望んでおるぞ。」
それだけ言うとセイバートゥースは踵を返し去って行った。
「ハル!!」
『………。』
「冗談よせよ…!ハル!!!」
『……かはっ、…ぐれ…っ』
グレイの悲痛な叫びに、僅かながら腕の中で身じろぐハルだが、彼女の身体は上手く動かない。
「ウェンディ!!」
「はい!」
エルザの呼び声に慌ててウェンディが降りてくる。治癒魔法でハルの身体を処置するウェンディ。
ゆっくりと目を開けるハル。グレイを始めウェンディやナツ、エルザ、ルーシィ、そしてラクサスが彼女を心配そうに囲っていた。
「ハル!」
「しっかりしてください…っ!」
涙を浮かべるルーシィとウェンディに、ハルは笑みを浮かべる。
『だ…じょ、ぶ。あり、がと…。ウェン…ディ。』
「ハル、あいつに何か言われたのか!?」
「途中でおまえの魔力はまるで安定していなかったが…?」
ナツとエルザの言葉に、自分の不甲斐なさを思い出して眉を下げた。
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