05







『…水の中で水竜に勝てると思ってんの?』


にっと笑うハルの身体を、水が覆い勢いはなくなる。



「……っ。」

瞬時に懐へと入り込むハルにミネルバの反応は遅れた。


『水竜の翼撃!!』

勢いよく襲いくる流水にミネルバの身体は自由が効かない。その衝撃に耐えたはずが、もう身体は動かなくなっていた。


「…どうゆうことだ。」

『この競技で、あんたの勝ちはない!』

目を細めるミネルバと、身体の自由が効かない彼女を平然と見下ろすハル。


思いもしなかった戦況に会場は唖然とする。剣咬の虎のミネルバが、こうも簡単に抑えられてしまっているのだから。



「水の中でハルに勝てるわけねえだろうが!」

「ハルは水竜だぜ!?」

勝利を確信したナツとグレイはお互いハイタッチを交わす。


「御嬢…!?」

「……水竜。」

スティングとローグも、観戦者たちと同じように驚きが隠せない。




「水竜(ウンディーネ)…、私覚えてる!」

「7年前最強と言われていたギルド、妖精の尻尾でも有数の強力な魔導士!!」

「水竜の滅竜魔導士のハルだ!!」


ざわめく会場にマカロフやメイビスは、どや顔で満足げに聞きいる。






「甘くみておったわ。」

『今さら気づいても遅いよ。このまま場外にぶっ飛ばしてやる!』


身動きの取れないミネルバへと手をかざす。



「そういえば、そなたの相棒はあの藍色の子猫か?」

『……っ!?』

「甘いのう…。」



―――ゴッ


アイスの姿を確認するため視線を移すハル。隙を見せたハルの腹部にミネルバの拳が入った。



「「ハル!!?」」


小さな身体がくの字に折れ曲がる。グレイとナツの声も今の少女には届かない。

「子猫が心配か?妾にかかればここからでもやれること、覚えておくがよい。」

『……っ。』


頭を掴みハルの動きを封じる。アイスの姿を確認することすら出来ない。不安と恐怖にかたかたと震え出す身体。ミネルバは声をあげて笑った。



「脆い…脆いのう!そなたは仲間がおらねば何も出来はしない!」

『…あい、すっ』
「水竜だから等と期待されて来たようだが、そなたの身体は今にも潰れてしまいそうではないか。」


圧迫し続けられる頭部。ハルはその腕を震える腕でつかむだけだった。








残虐の始まり











「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -