03











久しぶりのマグノリアの街を歩くハル。



『アイス…』

「んー?」

彼女の頭に乗るアイスは間延びした声で返事をする。胸に手を当てていた少女は、それをおろしながら尋ねた。


『ドキドキするのって、どんなとき?』

「……………えっ?」

思いも寄らない質問に、ぎょっとするアイス。ハルは未だ先日の動悸の理由を見つけられないでいた。



「い、いつしたんだ?」

『この前、グレイの目が冷たかったとき。』


「グレイがハルに冷たい目なんてむけるかよ…。」

ぼそっと呟くアイスの声。普段はそれすら拾うハルだが、考え事に夢中すぎてその声は届いていないよう。




『アクノロギアに向かって行くときもどきどきしたけど…、それとはちょっと違うんだよねぇ。』

「……一緒だったら不憫で堪らんわ。」


アイスのツッコミも届かず、ハルは短いため息をついた。






「ん…?おい。」


アイスに頭をぺしっと叩かれ顔をあげれば、黄昏の鬼のギルドへと入っていくマカロフ、エルザ、ミラジェーン。

外で待つのはマカオとワカバだった。



『ねぇ!』

「げっ!ハルまで!?」

「……?」

ぎょっとする二人にハルもアイスも首をかしげる。


『何しに来たの?』

「借金の話だよ…、今回は話し合いだけで終わらすらしい…………けど。」

確信を持てないマカオの言葉。アイスはこれだ!と閃くと、ハルの頭を再び叩く。


「おれたちも行こうぜ!」

「「はぁ!?アイス!おまえ…っ!」」

まさかアイスから出るとは思ってはいなかった言葉であったため、二人は開いた口が塞がらない。



『…そーだねぇ、おもしろそうだしいこっかな!』

途端表情を輝かせるハルに、落胆するのはマカオとワカバ。アイスは相変わらず単純な少女にガッツポーズをした。


これで終わりの見えない彼女の悩みはあっという間に消え去ったのだった。




"まだ"見つけられない











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