03











「ロメオ…着いて行かなくてよかったのか?」

「もし天狼島が見つかったとしても、みんな…生きてるかわからねぇんだろ。」


ギルドに残ったワカバが、ロメオへ話しかけるも、彼は眈々と抑揚ない声で答える。

「そんなことねぇって!信じなきゃよ、そこは…。」

「7年も連絡ねぇんだぞ…。」


希望のかけらも見出せないロメオに、他の仲間も表情を濁らせる。





―――ガチャ


「おいおい、今日は一段と人数が少ねえな?ギルドっていうより、同好会か?」

そこへ再び現れた黄昏の鬼。ワカバがすぐさま噛み付くも、彼らはマスターに言われて来たと答える。


「期日通り払ってくれなきゃ困るってよォ!マスターに言われちゃ、しょうがねぇんだよ!」

にやにやと笑う彼らは、何とも楽しそうだ。



「ふざけんな…。」

「よせ、ロメオ!」

読んでいた本を閉じ、彼らと向き合う小さな少年。マカオの制しも聞かずに、彼らへと訴える。


「おまえらに払う金なんてねえよ。」

「なんだ?クソガキ、その態度…。」

「こんなやつらにいいようにされて…父ちゃんもみんなも腰抜けだ!!」

ロメオの手元にはマカオと同じ紫色の魔法陣。



「オレは戦うぞ!このままじゃ、フェアリーテイルの名折れだ!!」


彼を止めるために走り出すマカオ。まだ未熟な彼の魔法は一瞬で消えてしまう。

「名前なんてとっくに折れてんだろ?」


金棒を振りかぶるディーバに、マカオが叫ぶが間に合わない。



「おめぇらは一生、オレたちの上には行けねぇんだ!!!」








―――ガッ


ディーバを後ろから蹴り飛ばす影。彼らが驚く間に、残りの4人も次々と倒されていく。



目を見開くロメオたち。

一瞬の出来事。土煙が晴れたとき、その場に立っていたのは7年前から待ち望んだ彼らの姿。


「ただいまァ!!」

ナツの声に驚きを隠せないマカオやワカバ。ラキや他の仲間は彼らの姿に喜びを露わにする。


7年前から変わっていない姿に驚きながらも、彼らの表情は明るいものだった。




『やっばー!ギルドぼろぼろじゃん!!』

「ハルだ!!」

「やっぱり変わってねぇ!!」

彼らの喜びように呆れるアイスと、ふわりと微笑むハル。



7年前と変わらない姿の説明をするマカロフ。その間ハルはきょろきょろと辺りを見回す。

『ぼろぼろだけど、みんながいればそれでいっか!』

「そうだなっ!」


笑い合う二人を見つめる瞳。ふと振り向けば、ロメオが何も言えないまま、二人を見上げていた。



『…ロメオ?』

「大きくなったなァ!ロメオ!」

『なんかナツみたいだねぇ?』

にっと笑う二人の姿は確かにロメオの目の前にあって…。


全員が喜びに笑みを浮かべる中、彼はぽろぽろと涙をこぼす。止まらない涙を拭うことなく、そのまま彼は7年ぶりの笑顔をみせた。

「おかえり…ナツ兄、ハル姉!みんな!」


それに応えるように首を傾け微笑むハル。漸く見ることのできた息子の笑顔に、マカオは声をあげて泣いたのだった。





一緒じゃないと笑えない











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