▼ 02
『…っ、グ…れいの…こえ……』
聞こえるのは家族の苦しみにあがる声。ゆっくりと開かれる瞳に映るのは、倒れているにも関わらず魔法弾を撃たれ続ける家族たち。
頭を踏みつけられるナツが視界に映る。
『…っ』
荒くなる呼吸。彼らはハデスの容赦のない攻撃に身動きが取れない。攻撃を避けることすら出来なくなっていた。
『…たしが……る…っ』
―――パリッ…パリィン
身体を覆っていた氷が割れる。ふらっと立ち上がるハル。
その姿にいち早く気がついたルーシィは、ぽろぽろと涙を溢れさせた。
「ハル…っ!」
『……っ』
地を蹴り素早くハデスの懐へ飛び込むハル。動けるはずのない彼女の存在に、大きく開かれるハデスの目。
「小娘…っ!?」
『…たしがま…もる…っ!!!』
倒れこむナツからハデスがふらつきながら離れる。
『言ったでしょ…。あ、たしの…家族を……きず…つけ………ゆる、さな…っ』
―――ドサッ
「ハル!?」
その場に倒れこむハルの荒い呼吸に、誰もが彼女は限界だと悟る。これ以上彼女を戦わせてはいけない、と。
「ふん…やはり、とどめを刺しておけばよかったな…。」
『………はぁ…っ、はぁ…』
「もうよい。眠れ…。」
ハデスの指先に集まる魔法弾。ハルは立てずともなお、ハデスを睨むように見上げる。
「汝は最後まで強き魔導士であったな…」
『………っ』
「やめてえぇええ!!!」
指先から放たれる攻撃に、涙ながらにルーシィが叫ぶ。グレイも動かない身体をよじるが間に合わない。
―――ゴロゴロッ…ゴォン
激しい落雷とともに爆煙が辺りを包んだ。
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