04












「誰かに…伝えなきゃ!ハルが…っ!」

目に涙を浮かべながら木々の間を飛んで行く。アイスはMAXスピードでベースキャンプへと急いでいた。


あの後、ウェンディが駆けつけた。すぐにナツも目を覚ましたけど、ハルのことは言えなかった。

言えば彼はすぐにハルを助けに行ってくれただろう。


けどそれではハルが何も言わずに行った意味がない。

「他の…、まだ傷ついていない仲間を探さねぇと…っ!」



思い浮かぶ心強い仲間の顔。

「エルザ…、グレイ…っ、……なんでこんなときにあいつはいねぇんだよ…っ!」


ぐっと噛みしめるアイスは悔しそうに呟いた。
























「侵入者だ!!」

「フェアリーテイルの魔導士だ!」


『そっちが先に侵入してきたんでしょ!!』

両腕を薙ぎ払い次々と敵を倒していく。グリモアハートの兵は絶えることなく現れるが、ハルにとっては相手にならない。



『水竜の煌氷!!』

地に手をつくハル一瞬にして凍りつく足場。足元から凍りついていく兵たちの悲鳴をよそに、ハルは一際目立つ巨大な扉を蹴り開けた。




『…はぁ…はぁ……。あんたがプレヒト…』

「残念だが私の名はハデス。グリモアハートのマスターだ。」

どしりと椅子に座り込む白髭の男は、単身で乗り込んできたのが少女だと知り嘲笑する。


「貴様ひとりで乗り込んでくるなど…身の程を知れ。」

『あんたこそ…フェアリーテイルに喧嘩売るなんて、身のほど知りなよ…っ!』

ゆっくり立ち上がるハデスにハルは素早く身構える。



「残るはブルーノート、ウルティア…ラスティノーズとアズマか……。小僧の兵隊もなかなかやるな。」

『……兵隊…?あんたほんとにフェアリーテイルのマスターだったの!?』

きっと鋭く睨みつけるハルに対し、ハデスは余裕の表情で答えた。


「フェアリーテイルは変わったんだよ、3代目となって…。」

『はっ…、あんたのときのフェアリーテイルじゃなくてよかったよ!』

「ふん…私も小娘のような軟弱な兵、願いさげだ!!」



闇雲に飛び出すハルににやりと笑う。

「まだまだ温いわ!」

『水竜の翼撃!!』



―――ゴゴォオオォ

爆音を響かせる中、ハデスの魔法の鎖がハルの足首を捕らえた。


『ちっ…!』

勢いよく地へ叩きつけられるところへ、ハルは大きく息を吸う。




『水竜の咆哮!!』

ブレスの勢いで重力と衝撃に反発する小さな身体。鎖を掴むと今度はハルがにやりと笑った。


『水竜の煌氷!!』



―――ピキピキッ


鎖を足場に一瞬にして凍りつくハデスの身体。それでもハルの攻撃の手は止まらない。



『ぶっ飛ばしてやる…っ!!』

「まだまだ小童が…!」

振りかぶられた細い右腕は、氷の中から飛び出してきた腕に掴まれる 。再び捕まったハルだが、引くことなく左の拳を繰り出した。


『…っ、許さない!!』

容易に避けられる拳。しかしその瞬間、掴まれていた右腕は自由となった。


ひんやりとしてきた辺りにハデスがピクリと眉を動かした。見れば彼を囲むようにして浮かぶ何百もの氷の槍。

『水竜の槍戟!!』

ハデスに向けて一直線に飛んでくる氷の槍。まだハデスのそばにいたハルは再び大きく息を吸い込む。



『水竜の咆哮!!』



―――ドゴォオオォオ…













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