▼ 04
「……リサ…ナ…」
ナツたちの目の前に倒れこむ少女は紛れもないリサーナ。
「何、このネコ!てかエクシード!?」
「パンサーリリーだ。」
「なんだァ!?てめぇ!俺のネコにケチつけようってのか!!」
リサーナを知らないガジルはぎゃあぎゃあと騒ぐが、他の彼らはそれどころではない。
「そんなまさか…」
「なんで…リサーナが?」
「もしかしてエドラスのリサーナが…」
「こっちに来ちゃったわけ!?」
慌てるルーシィたちにリリーから視線を移すリサーナ。まっすぐに彼女を見つめていたナツと、視線が交わった。
「…あ…」
「ナツーーーっ!!!」
何も言えないナツに対して、リサーナは勢いよく抱きついた。ロープごとリリーを引っ張って。
「また…また会えた…っ!本物のナツに…!」
「……あ…」
あまりの驚きに開いた口がふさがらない。リサーナはそんな彼らに構わず、今度はハッピーを抱きしめる。
「私よ!リサーナよ!!」
「…ハル……」
アイスの呼び声にハルはゆっくり顔をあげる。信じられない光景に栗色の瞳は大きく開かれていた。
『あ、アイス…これ、夢?』
嬉しそうにエルザたちへと話しかけるリサーナ。その蒼い瞳が戸惑う少女をとらえた。
「っ……ハル!!!」
『……ぅわっ』
飛びついてきたリサーナにハルは、いまだに現状を信じられないでいる。
「ハルだ…っ!本物の…ハルだ…!!」
『…………』
「なんで、リサーナが…?」
放心状態のハルに見かねて、エルザが理由を問いただす。リサーナがここにいるはずがないのだ。彼女は2年前に死んだのだから。
「私…死んでなんかなかったの。2年前、私は気を失っているときアニマに吸い込まれたんだと思う…。」
「……アニマに?」
「エドラスで目が覚めたあたしは驚いた。みんな雰囲気は違ってたけど、私の知ってるみんながいたの。」
「なら…2年間、ずっとエドラスで…?」
眉を下げながら告げる真実に、驚きを隠せない。
「てかなんで初めてギルドで会ったとき、そう言わなかったんだよ!!」
「言えなかったんだ…」
苦しげに呟くリサーナにハルはピクリと反応する。
「私はエドラスのリサーナとして生きていく…、そう決めてたから…っ。もう二度とミラ姉たちを悲しませたくなんかなかった…だから、……っ!」
『……リサ、ナ…』
小さく呟くように呼ぶ声。震える声色にリサーナは身体を強張らせる。
『リ、リサーナ…っ、リサーナ!!』
「…ハル……っ」
ぎゅうっと抱きしめるハルにリサーナの目には涙が浮かぶ。
『やっと…見つけたっ!!』
「……っ!」
"あたしだって探すよ!見つけたときには安心するようにぎゅうって抱きしめてあげる!"
『おかえり、リサーナ…っ』
「ハル…ただいま…!」
涙ながらに抱きしめ合う二人を、頬を緩めながら見守るナツたち。
『ほら…、ミラとエルフマンにも会いにいかなきゃ!!早く二人に…っ』
「お、落ち着きなよ!!ハル!」
わたわたと慌てて立ち上がるハルに、リサーナは涙を流しながら声をあげて笑う。
この後、リサーナは再会を喜ぶ姉と兄に抱きしめられながら、泣きじゃくることとなる。
辛い別れと涙の再会
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