光に導かれて | ナノ

05

 








『ひまだー』


木々の間を飛び進み続けるハル。あたりで聞こえ始めた爆音に耳をかたむけながらも、もう自分から足を進めたりなんてしなかった。

『ゲリラ、めんどくさいし…』


となりを流れるミルキーロードをなんとなくじっと見ていると、その向こうから現れたのは真っ白な服をまとう羽根の生えたヤギ。



「ゴッドエネルのメェ〜により貴様ら青海人8メェ〜とシャンディアの者たちを始末する!」

『羊!?』

「どちらかというとヤギだ!!」


目をまるくするハルに鋭くツッコミながらも攻撃をしかけてくるヤギだが、意図も簡単に地へと伏せる。



『ヤギなのに人間にケンカ売っちゃダメじゃん』

イノセンスを発動することなく、ただの蹴りで相手を倒すが、後に続いて数匹のヤギが襲ってきた。


「貴様!」

『……羊?』

「「ヤギだっつってんだろ!!」」



























『あー…、もうめんどうだから爆音のする方行っちゃおうかなぁ』


あっという間に神兵であるヤギを倒したハルは、再び飄々と木々を飛びわたる。




―――ガサッ


『おっと…ミルキーロードだ、……ってあれ?』





「ハル!!?」

『メリー号だぁ!』


勢いで宙を舞いながらも思わぬ再開に顔を綻ばすハルだが、ナミの腕の中にいるサンジやウソップに眉をしかめる。



『……サンジく…、ウソップ…っ』


異変に気づいたハルは空中でイノセンスを発動させると、ざっ滑り込むようにガンフォールの前に着地した。



『…………』

「ほう…、変わった力を使うようだな」


メリー号の甲板に堂々と座る見たこともない男。ハルはキッとにらみ相手の姿を確認する。



『……あんた、エネル?』

「ヤハハ!よくわかったな!我こそが神なり!!」

『やっぱりね…』

「ハル!!止めなさい!」


今にも飛び出しそうなハルをすんでのところでナミが止めた。



『なんで!?』

「いいから!今は…」

『……ナミが、言うなら』

倒れたサンジとウソップの服を握りしめるナミに気づき、スッとイノセンスの発動を解いたハルにエネルは残念そうに笑う。


「おまえの能力見てみたかったんだがなぁ…。随分そこの女に忠誠が厚いようだ」

『……また後で見せてあげるよ…』

「ヤハハ!まぁいい。話しはそれだけだ…」



どうやらもう話しはすんでいたらしくエネルは立ち上がり、森の奥へと目をやる。


「聞こえるか?祭りの音が」

『……爆音のこと?』

「あぁ、私ももう行かねばならん。なんせ私も参加者なもんでね…」


にやりと笑うエネルをにらむだけのハル。一瞬のうちに消えたエネルに目をまるくするも、次の瞬間には自身の目の前に現れ咄嗟に後ろに飛ぶハルだが、エネルに腕を掴まれそれすら出来ない。



『貴様…っ!』

「おまえも参加者だ!十分に暴れるがいい!サバイバルゲーム、最後の5人に残れるといいなぁ。ヤハハハ!!」


何とか振った左手だが彼は再び消え、そのまま姿を現すことはなかった。




『……チッ…』

「ハル!あんた、大丈夫!?」


舌打ちをするハルに心配そうな表情で駆け寄るナミ。ハッとすると何とかへらっと笑ってみせる。

『あたしは大丈夫…っ、ナミは?』

「あたしも…、けどサンジくんとウソップが!」



見れば焦げたような後を残し倒れこんでいる二人。エネルの行方を気にしながらも立ち上がると、倒れる二人に駆け寄った。











 

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