04
黄金を目指す5人。
「おれ、この森もっと怖ぇとこかと思ったけど大したことねぇな!」
見つけた木の棒をブンブンと振り回しながら意気揚々と歩くチョッパー。ルフィが強気な彼をからかうが、けらけらと笑うだけ。
「(…この4人が一緒だと心強いなぁ!)」
なんて思っていることは、もちろんルフィたちはわからない。
「ま、確かに拍子抜けだよなァ。昨日おれたちが森に入ったときも、べつに何もなかったぜ?おまえの気持ちもわかるぜ、チョッパー」
「だろ?あははは!」
『………』
「おかしな人たちね、そんなにアクシデントが起こってほしいの?」
「おい、どうしたハル」
突然立ち止まったハルにゾロが尋ねるが、少女は何も言わず一転を集中的に見ている。
『いや……気のせいみたい』
不思議そうに首をかしげながら歩きだすハルに、いつの間にか同じく立ち止まっていたチョッパーが走ってしがみつく。
『わ…っ、どうした?』
「なっ…なんでもねぇ!」
明らかに大量の汗を流しながら足から離れないチョッパーに、ハルはやっぱり首をかしげながらも平然と歩いていた。
「(シマシマな根っこが動いたって言ったら、ビビってると思われて笑われちまう…っ)」
歩きながらも後ろをキョロキョロと気にするチョッパーに、さすがのゾロも声をかけるが「なんでもない」ですます。
が
「なんだぁ?あの変な根っこは」
「だろ!?」
「根っこがなんで動いてんだァ?」
「だろ!?実はおれさっきから気がついてて…」
『……こいつの気配だったのか』
「え……」
ハルの言葉に見上げるとそこには金色の目をした大蛇がいた。
「ぎゃああぁあぁあ!!!!」
「にげろ〜!大蛇だァ〜!!」
けらけらと笑いながら走るルフィにロビン、ゾロ、そして泣きわめくチョッパーを抱えたハルが続く。
「…っ…、ナマズみてぇなやつだなァ!ぶった切ってやる!」
立ち止まり刀に手をかけるゾロだが、巨体のわりに速い動きに咄嗟に身をかわした。
『こいつ毒持ちみたい…』
ハルの言葉どおり大蛇が噛みついた太い幹は毒によって細く溶けてしまっている。
「こりゃ逃げた方がいいみたいだな…」
「……確かに」
「こえぇえ!!」
何故か嬉しそうに叫ぶルフィ。
「おーい、大蛇!こっちだこっち!!」
挑発するルフィを大蛇も追うが伸びる彼を捕まえることは出来ない。ロビンも同様軽々とかわし、チョッパーは涙しながらその場を離れる。
『なんかもう、めんどくさい…』
すでに大蛇に飽きてしまったハルは飄々と木の枝を飛びうつっていた。
『……どこ行けばいいんだっけ?』
大蛇から逃げきったハルだが、仲間たちともすっかりはぐれてしまいあたりを見回すが誰も見えない。
元々話を聞いていなかったため、何をするかさえも若干曖昧だったりする。
『とりあえず歩いてりゃなんかに会うか』
と、呟くとひとりで平然と森の奥へと向かっていったのだった。
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