03
「ほらー!見ろ!言ったとおりだろ!!ここに誰かいたんだァ!!」
朝からぎゃあぎゃあと騒ぐウソップ。一味もメリー号の姿に驚きを隠せなかった。
「「ゴーイングメリー号が修復されてる!?」」
折れたマストもしっかりと立ち、穴が開いていた底も何とか塞がれている。
「見たんだ、おれは…!やっぱりあれは夢じゃなかったー!!」
何故か涙するウソップ。
「確かに折れきったマストまでちゃーんと直ってる!」
「本当、こんな重いものを立てるだけでも大変な作業だわ」
「だが、言っちゃ悪いが……ヘタクソだ」
感心するナミやロビンのとなりで、未だ寝息をたてるハルを背負ったサンジがしみじみと呟いた。
「ハルはいつまで寝てるのかしら?」
「いつものことね」
「まあ、今はいいわ」
サンジの背ですやすやと気持ち良さそうに眠るハルに、さすがのナミもハルの髪をさらっと撫でながらくすっと笑った。
「もう誰も死なないで…っ!!」
……なんで泣いてるの?
「大好き…v」
この人は誰だろう…
……なんで撃たれてるの
「1億ベリーで村を買うの」
この子、もしかして
「おれがいつ約束を破った?言ってみろ!」
「……外道…っ」
ずっと泣いてばっかりじゃんか…
「…ルフィ……、たすけて…っ」
「当たり前だァ!!!」
あたしもその場にいたかったなぁ…。
絶対力になった。一緒にナミを泣かせた奴をぶっ飛ばした。
「おれは、助けてもらわないと生きていけない自信がある!!」
あたしは何をすればいい?
「おまえはおれの仲間だァ!!」
「……うん…ッ」
あたしは……
『……っ…』
――ガバッ
「やっと起きたかァ、説明聞い……どうした」
ハルの様子に眉をしかめるゾロ。当の本人は呼吸を整えるように、胸に手をあて何度も呼吸を繰り返す。
「ハル〜?聞いてなさいよ?」
『ナ…ミ』
「え…?ど、どうしたの!?」
膝枕をしていたのか隣に座るナミへ、突然抱きつけばナミはもちろん、一味は目をまるくする。
『もう…泣かないで……』
「ちょっと…、あたしがいつ泣い……」
『みんな…、あたしが守るから…』
「……、…ハル?」
顔を上げたハルの表情は真っ直ぐでいつものハルではないように見える。ナミは目を見開きながらも、何も言えずただ様子がおかしい少女を気にしていた。
「……とりあえず説明に移るわ」
「おい…ナミ」
「ちょっと黙ってて」
ゾロの呼びかけにも対応せず、ナミはてきぱきと指示をだす。
ルフィ、ゾロ、チョッパー、ロビンそしてハルは黄金を取りに行くチーム。ナミ、ウソップ、サンジはメリー号に乗りここから外海へ出るチーム。
それぞれに細かな指示を出した後、準備を整え出発した。
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