光に導かれて | ナノ

05

 



ナミが帰ってくるまでゆっくりすることにした一味に、ハルはほっとする。それぞれがバラバラに散るなか、ルフィはウェイバーの側を離れない。


「…!そのウェイバー貴方たちが壊したのならば刑法10条器物損壊罪にあたります!」

『………』

ハルがむっと男を睨む。同じようにいらっとしたルフィがぎゃあぎゃあ騒ぎ出すと同時にウソップが駆け寄り、慌ててルフィを連れていった。










釣りをするウソップの竿に大物が引っ掛かり、ルフィとチョッパーと三人でなんとか引き上げると、巨大な空魚が飛び出してきた。


「大物だ!!……っわぁ!?」



引き上げた衝撃で釣糸は切れ、空魚がコニスへ襲いかかる。コニスの叫び声に駆け出したゾロが峰打ちで倒した……が。





「これはこれは…この空魚は珍しい種類のために、捕獲を禁じられております。貴方の行為は保護法違反、第9級犯罪にあたります!」

「なんで罪になるんだ!ゾロはコニスを助けたんだぞ!」

「ゾロ!仕留めたのか?」


慌てるウソップの言葉に「峰打ちだ」と答えるゾロ。ウソップは空魚をリリースしようと試みるが。




「うわー!うまそう!!」

「待て!ルフィ!!」

「……ガブッ…」


空魚にかぶりつくルフィを見て、男はにやりと笑った。



「食べれば言い訳も出来まい!窃盗罪は第8級犯罪!」

ウソップはかぶりつくルフィを引き剥がし、なんとか空魚を海へと返す。悔しそうに顔を歪める男にハルは、目を細め睨んだ。


「さっきから黙って聞いてりゃ無理やり罪をすりつけやがって!」

「わぁあ!やめろ、ゾロ!!」

「今のは完全なる恐喝罪、第7級犯罪にあたいします!」



必死にフォローするウソップに虚しくチョッパーまでも騒ぎ出す。


「チョッパー!おまえまで!?」

「だって…これじゃあ何にも出来ないよ!!」

「……何にも出来ない?…そうか!」



何かを閃いたウソップはその場の雲を盛り頭を乗せると寝転がる。

「何にもしなきゃいいんだ。寝てようぜ!」

ウソップの提案にルフィ、ゾロ、チョッパーは寝転がると同じように眠り始めた。


『ふふ…』

思わず微笑むハルとは逆に、男は苦々しい表情でそれを見る。コニスとパガヤは彼らのマイペースさに驚いていた。





しかし、彼が黙っているはずもなく…。


「神聖なるエンジェルビーチでの凄まじい騒音…。貴方がた、環境破壊罪が適用されれば、第6級犯罪にあたいします!」

「イビキもかけねぇのかよ!!」



苛立ちも募りに募った彼らは立ち上がると、揚々と男に向かう。


「あぁ!このベレー帽のおっさんぶっ飛ばす!!」

「やるかァ」

『………』

「ちょ…ちょっと待て!!ハルも睨むのやめろ!」


やっぱり慌てるのはウソップだけで、三人は活気づいていた。と、そこへ。



「ちょっと待ってぇ!!」

「ナミさん!無事だったんだねぇ!」


手を振るサンジを無視してナミはルフィに話しかける。ルフィを止めるウソップが叫んだ。



「ナミ!おまえのへそくりで700万ベリーの不法入国料払ってくれぇ」

「よかった!まだ罰金で済むのね………、なな…ひゃく……万ベリー…?」


―――ギュウゥウウン



加速したウェイバーにハルは目をまるくする。ナミがアクセルを踏んだのだ。












 

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