03
「おーら、出来たぞ!」
『空島料理!!v』
「食い付き早ェよ!」
サンジが並べる料理に一瞬で目を輝かせるハル。ウソップのツッコミにも一切動じない。
もぐもぐと食べ始めるハルやルフィを背にサンジがベランダでタバコをふかす。
「おい…、ナミさんはどこに行ったんだ?」
「いるだろ!海に」
「いや、いねェ」
「じゃあちょっと遠出してんだよ、ほっとけって!」
『…モグ……モグ…』
彼らのやり取りにハッとしたコニスは食べていた手を止めた。
「父上…、大丈夫でしょうか?」
「ええ…コニスさん……、私も少し悪い予感が…」
「どうしたァ?」
表情を曇らせる二人に気づいたルフィが訊ねると、言いづらそうに答える。
決して近づいてはいけない、足を踏み入れてはいけない場所。それがウェイバーである程度行くとたどり着いてしまうところにある。そこは聖域であり、神の住む土地"神の島(アッパーヤード)"と呼ばれていると。
「神がいるのかァ!?絶対足を踏み入れちゃいけねぇ場所に!」
「…はい」
『……神…?』
ピクリと反応するハルにサンジとゾロが目を細める。
スカイピアは全能の神、ゴッドエネルによって支配されていると説明するコニスにハルは身を乗り出して聞いた。
『神には会える?』
「!?とんでもない!!私たちは会うことは出来ません!あの人は私たちのことは見えているかもしれませんが……。」
『……ふーん…』
それっきり黙りこむハルを置いて、ルフィは表情を輝かせながら言う。
「そっかー!絶対に足を踏み入れちゃいけねぇ場所かァ!」
「おい、てめぇ!ルフィ!今おまえ何考えてる!!」
胸元を掴みぐらぐらと揺らすウソップにも動じない。
『……神、ね…』
「ぅおい!!ハルまで…っ」
依然としてもぐもぐと手と口を動かしながら呟くハルに一層慌てるウソップだが、サンジもナミが心配で行く気満々だった。
『神様…か…』
「ハルは神様信じてるのか?」
ナミを助けに行く(?)ためメリー号に乗り込む一味。早々メインマストにもたれるハルにきょとんとしたチョッパーが聞いた。
『ん…、信じてるよ』
「へぇ…、意外だなァ」
「ゾロ!」
座り込むハルを見下ろすゾロはさも意外そうに笑う。
「てめぇは神になんざ興味なさそうじゃねぇか」
『……神様いないと、あたし戦えないから』
「は?」
儚げに笑うハルに目を細めるゾロ。ルフィの騒ぐ声に空気は飲まれる。
「早くしねぇとナミが帰って来ちまうじゃねぇか!!」
「それが本音かァ!!」
風の向きにより神の島(アッパーヤード)へ今すぐには行けないとパガヤに言われ、ルフィは待ってられないと下の海で拾ったウェイバーを手に雲の海へと駆け出した。
「ばっ…」
「……っ…ボコボコ…」
「そうなることはわかってただろうがァ!!」
もちろん海へと沈んでいくルフィにゾロとウソップが声をあげる。
ぼろぼろのウェイバーをパガヤが直すと申し出一味はウェイバーを彼に預けることにした。
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