光に導かれて | ナノ

05

 






―――バンッ


『さ…サンジくんが!!』

ドアを勢いよく開いたハルに仲間たちは目を見開く。




「ちょっ…、あんたなんて格好で出てきてんのよ!?」

「お、おま…っ」

「ハル!!?」


白いシーツを体に巻きサンジを抱きかかえ現れたハルに目のやり場に困る。が、それよりもそんな姿の彼女にかかえられているサンジに仲間の視線は向いた。



「ラブコック!!てめぇ!?」

「サンジ…っ、ハルに何を…」

ゾロやウソップがハルの腕からサンジを奪い取ると、そのまま甲板に投げ捨てる。


『違…っ、サンジくんが鼻血出して…倒れ』

「こいつはおまえのその格好見てこうなったんだよ!!」

「とりあえず舞姫さん……服、着てきたら?」

『あ、そうだよね…』


慌てて部屋へと戻るハルを送り出し一味は、倒れたままのサンジに目をやる。呆れる仲間たちをよそにサンジの目は依然としてハートになっていた。


























―――グラッ


『……何?』



大きく揺れる船体にハルは着替える手を止めベッドに座り込む。ホルターネックのキャミソールを着、上からパーカーを羽織った。

揺れがおさまると立ち上がり両手足をバタバタと動かしてみると、思っていたより自由に動かせた。ロビンが選んだ服が自分の戦闘スタイルに合わせてあることに思わず微笑む。そこへどこか嬉しそうなナミが飛び込んできた。



「あら、似合うじゃない!あ、ハルも出てみなさいよ!空の海、ステキよ!!」

『空の海?』


不思議に思いながら甲板へ出ると真っ白な雲が広がり、陸と海の見分けもつかない。すでにルフィたちは陸と思われる雲の上で、わいわいと遊んでいる。



「サイズ、ぴったりだったかしら?」

『うん…ありがとう』

「ふふ、どういたしまして」

微笑むロビンはゾロと一言二言交わすと、海へ飛び込む。ハッとしたハルが慌てて下を見ると、どうやら足がつくほどの深さらしくロビンは平然と歩いていた。




「おい…」

『……ん?』

声をかけられ振り向けば、ゾロがおもしろくなさそうに肩肘をついている。



『…何?』

「おまっ…、もうちょっと女だってこと自覚しろ!」

『してるよ!失礼なやつだな…。』

「男の前に堂々とシーツ一枚で出てくる女のどこに自覚があるんだよ!!」

『あれはサンジくんが倒れたからじゃん!!』

やはりおもしろくなさそうに舌打ちをするゾロにハルが呆れたように呟いた。



『大体ぶっちゃけ見られても減るもんじゃないし…』

「……っ…、だからその考えが自覚が足りねぇんだよ!!」

『…はぁ?』


眉をしかめるゾロはため息をつくと、むすっとするハルの頭をぐしゃぐしゃとかき撫でる。

『……なんだよ…』

「こっちがもたねぇんだよ…」

『………』


ゾロはそのまま船を降りルフィたちのもとへ向かう。残されたハルは一人、ゾロの言葉の意味を考えていた。








無自覚な誘惑










 





 
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