04
『……!』
「……ちっ…」
背後に現れたハルに素早く身を翻す男。しかしそれ以上の早さをみせるハルが男の背後をついにとらえた。
『はぁ…っ!!』
「……く…っ」
甲板へと男を蹴り落とすハルだが、ふっとそのまま同じように甲板落ちる。何とか起き上がる男だが、先に倒れた三人同様ハルも倒れ込んでいる。男はハルの側に立つとそっと手を伸ばした。
「そこまでだ!!」
「……っ…」
突然現れた鳥に乗った鎧の老人が男に突っ込むと、男はそのまま海へと落ちた。
「何!?今度は誰!!」
「ん〜…我輩は空の騎士!」
甲板に着地する鎧の男にナミが声をあげると男は難なく名乗る。
「去ったか…」
「何なのよ、一体!?あいつは何者だったの!?それに…なーによ、あんたたち…だらしない!三人がかりでやられちゃうなんて!!しかもハルまで!」
空の騎士の言葉にほっとするナミだが、たった今起こった出来事に困惑する。そして甲板に倒れる三人に視線を移すと容赦なく渇をいれた。
未だ苦しそうに呼吸をする三人。ハルも同じようにマストに背を預け、激しく呼吸をしていた。
「いや…っ、全く…ふがいねぇ……っ」
「なんか…っからだが……、うまく動かねぇ…っ」
「きっと空気が薄いせいね…」
「あぁ…っ、そう言われてみれば…」
ロビンの言葉に納得しながらも四人は深く呼吸を繰り返す。
「お主ら…、青海人か?」
「青海人?何それ…。あ、そうだ!貴方は誰なの?」
「我輩は空の騎士である。青海人とは雲の下に住む者の総称だ…」
空の騎士は階段を上がり、上から一味を見下ろす。
「つまりお主ら青い海から昇って来たのか?」
「あぁ!そうだ」
ルフィが返事をする間に空の騎士に寄り添う不思議な鳥。ハルはそれにじっと視線を奪われていた。
「ならばしかたあるまい。ここは青海より7000m上空の白海。さらにこの上空の白々海に至っては1万mに及んでいる。通常の青海人ではからだが持つまい。」
「おぉし…!だいぶ慣れてきた!!」
「そうだな、さっきよりは楽になった」
「いやいやいやいや…ありえん」
言った側から尋常でない反応を見せるルフィたちに、空の騎士は困惑しながらも話を続ける。
ハルはふらふらと立ち上がると、側に座っていたサンジに声をかけた。
『…ちょっと、休んでくる』
「……大丈夫かい?」
『平気…』
ふわりと笑ってみせると空の騎士に目もくれず、部屋へと入っていった。
『……ふう…』
団服を脱ぎ自身の左足を確認する。外傷はなく白く細い足のまま。
『…久しぶりだったから?』
ハルはそのまま下着になり、ロビンが買ってきてくれた服に着替えようと手を伸ばせば…
「ハルちゃん?大丈夫かい?」
タイミングが良いのか悪いのか、ドアを開くサンジ。ぴたりと動きを止めゆっくりとドアを見る。
『……っ…!?』
「……なぁ…っ///」
あまりの衝撃に声も出ないハルは慌ててベッドシーツで体を隠すが、そんなことしなくともサンジは勝手に鼻血を吹き出し倒れたのだった。
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