03
「どうすんだ、ナミ!落ちるぞ!!」
騒がしくなる甲板。そんな中でもナミは冷静に頭を働かしていた。そしてハッとしたかと思うと、まるで海上にいるときのようにクルーに指示をだす。
「帆を張って!今すぐ!!」
「……!?」
『ナミ?』
目を見開くクルーたちにナミが突き上げる海流を見通しながら告げる。
「これは海よ!ただの水柱なんかじゃない!!立ち昇る"海流"なの!そして下から吹く風は地熱と蒸気の爆発によって生まれた"上昇気流"!!!」
『………海?』
「そうよ!相手が風と海なら航海してみせる!!この船の"航海士"は誰!?」
「ナミさんでぇす!!!v」
にやりと笑うナミにクルーたちは安堵の笑みを浮かべた。ナミの指示通りに動くクルー。徐々に離れていく船体に声をあげるルフィだが…
「ううん…っ、いける!!」
「……っ…!!?」
ナミの言葉通りメリー号は突き上げる海流に沿って上昇していく。船体は水柱から完全に離れまるで空を飛んでいるようだ。
『ナミ…って、すごいね…』
ぽつりと漏らされた言葉だったが、ハルの空色の瞳はきらきらと輝いていて、まわりが思っていた以上に彼女は感激しているようだ。
「行っけェ〜!!メリー!!!」
ルフィのかけ声に乗ってメリー号はぐんぐん空へと昇っていったのだった。
―――ボオォン
「ぶへあ…っ!!」
「……ハァ…ハァ…」
「ぜ…全員…、いるか?」
雲を突き抜けメリー号は落ち着いた場所に止まる。クルーたちはたった今通ってきた雲に呼吸を乱されていた。
『………雲の上に乗ってる?』
いち早く呼吸を取り戻したハルの言葉に順々に辺りの景色を確認する。
「すげぇ!!」
「つまりここが空の海ってことね…」
ロビンがそう言うとウソップは意気揚々と甲板に立ち上がり、半裸になるとかけ声と共に空の海へと飛び込んだ。
『……ん…』
深く息を吸い何とか息苦しさを回避する。ふわふわと浮かぶ雲のような海をじっと眺めていると、ロビンがぽつりと呟く。
「ここには海底なんてあるのかしら…」
「「ウソップー!!!!」」
ルフィとロビンのおかげで青海へと落ちずにすんだウソップだが、精神的にやられていた。
「空島コワイ…空島コワイ…」
同じ言葉を呪文のように唱え続けるウソップを苦笑しながら眺めていると、チョッパーが騒いでいるのが聞こえる。
何があったのか確認しようとその場を立ち上がれば、突然現れた妙な動きと武器を使う一人の男。
「排除する」
『……は?』
男の言葉にきょとんとするハルだが、ルフィとゾロとサンジがいち早く男に攻撃をしかけた。
しかし
「ぶへぁ…っ」
「…っ…!?」
「が…っ…」
あっという間にやられてしまった三人にナミは唖然とするしかない。甲板に倒れる三人に声をかけるが、息苦しそうに返事をするだけ。
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