光に導かれて | ナノ

06

 




『……っ!?』

クリケットの家が見えたごろ、ハルの瞳には船体にヒビの入ったメリー号、そして倒れ込む傷だらけのマシラやショウジョウ、クリケットの姿も入った。



『おじさん!!』

何度か体を揺するとうめき声をあげながら何とか反応をみせる。それにほっとしたハルはマシラやショウジョウにも声をかけ、安否を確かめた。




そうこうしているうちに駆けつけた一味があまりの変わりように目を見開く。ウソップはメリー号の損傷に愕然とし、ナミは金塊がなくなっていることに声をあげた。

『……金塊が…?』

「気にするな…。船は明日までにおれたちがなおしてやる!」


気丈に振る舞いふらふらと立ち上がるクリケットをハルはじっと見つめる。



「おい!見ろ、このマーク…」

ゾロの声にルフィとハルは目を細めた。


『……あのベラミーとかいうやつのマーク…』

「昼間の…」



その瞬間、だっと走り出すハルにサンジが声をかけるが、止まることなく先へと進む。

「まさか、ベラミーのとこに?」

「そんな…っ、明日の出発に間に合わなくなれば空島に…」



慌てるウソップやナミを置いて、ルフィが静かに尋ねた。


「海岸線に沿って行けば昼間の街に着くか?」

「ちょっ…、ルフィまで…っ」

「着くわよ」

「ロビン!?」

好き勝手に行動する彼らにナミは頭を抱えるのだった。























一足先にモックタウンにたどり着いたハルは明かりが灯る酒場のドアを開いた。



―――キィイ


中にいたベラミー一味の鋭い視線がハルを射すが、目的の人物を見つけた彼女は迷わず歩み寄る。



「おめぇは昼間の嬢ちゃんじゃねぇかァ!おれの女になりに来たか」

ゲラゲラと笑う一味を無視しベラミーの前に立つハルの視線は普段と違い殺気に満ちていた。


『……あんたに用がある』

「ほう…」




そこへ






―――バンッ


「ベラミー!!大変だ…っ、昼間のガキ共……!?」

勢いよく酒場へ入ってきた男の手には数枚の手配書。ハル以外のその場にいた者は彼の言葉の続きを待つ。



「どうしたァ…」

「ひ…、昼間の…っ、こいつら…ベラミー、あんたより賞金額が…上なんだっ」

「…………」


「逃げたほうがいいって、…遅かったみたいだな……」



依然としてベラミーの前に立つ小さな少女にベラミー一味の視線が移る。信じられない表情で少女を見る一味に、ベラミーがゲラゲラと笑いながら言った。




「賞金額は?」

「剣士の男が6000万…、麦わらが…いっ…1億……っ」

「1億!?」

「そんな…っ、ベラミーの5000万より…上!?」

『……あんたごときが5000万?』


下から挑戦的に射抜くように見上げるハルにベラミーは眉をしかめると、手配書を手にした男に声をかける。



「おい、…このチビはいくらだ?てか本当にあんのか?手配書」

ゲラゲラ笑いながら尋ねるベラミーに男はわなわなと震えている。


「………く…3000万…」

「3000万かァ!嬢ちゃんにしてはなかなかじゃねェか!」

「サーキースよりも低い額でよくベラミーにケンカ売りに来たわよね!」

「あんまり言ってやんなよ!泣いちまうぜ」



ベラミー一味が愉快そうに笑うなか手配書を手にした男は、汗を流しながら必死に訴えた。


「違う!!…っ、い…1億3000万なんだ!!!」









 

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