05
「悲鳴が聴こえるわ…」
『ナミとサンジくんだ…、なんでウソップじゃないの?』
「放っとけ…」
三組に分かれサウスバードを探すもなかなか見つからない。さっきから大きなムカデがゾロにけんかを売るばかりで、鳥なんて生き物一羽も出てこない。
『声はするのに…』
――ジョ〜
『ねぇ』
「…あ?」
『こっちだよ…』
声に向かって歩いていたはずなのに、ゾロは今来た道を再び戻る。さすがの方向音痴さに苦笑しつつも、先に行くロビンを追いかけるハル。
『姿さえ見えれば…』
「…能力は使うなよ」
『……え』
ゾロの言葉にピタリと歩みを止めると、ゆっくり振り向いた。ゾロは上を見上げサウスバードを探しながら歩いている。
『なんで?あたしのスピードなら絶対捕まえれるよ?』
となりを平然と通りすぎるゾロにハルはむっと顔をしかめた。
「剣士さんは舞姫さんの心配をしてるんじゃないかしら?」
『……心配?』
「貴女の能力はとても頼もしいわ、けれどその分貴女への負担が大きい。彼はそれを知って貴女にあまり無茶をさせたくないんだと思うわ」
『………』
黙り込むハルは一人危なげにぶらぶらと森を探索するゾロの背中を見つめる。そして何かを言うかと思いきや、何も言わないまま彼の後を追いかけた。
結局ルフィたちはサウスバードを捕まえることが出来ず、再び一ヶ所に集まった。
「どーするよ…?」
「姿さえ見えないわ」
「おれたち見たぞ!!」
「ハチに命令しておれたちを襲わせるんだ!!」
『……鳥なのに?』
―――ジョー…ジョー
頭上から聞こえる声に見上げれば、大きなくちばしを持った目的の鳥、サウスバードが悠々と木に止まっていた。
「「「いたァーっ!!」」」
『………』
ハルは鳥を見上げた後、ちらっとゾロを見てため息をつく。そして何をするでもなくその場に座り込んだ。
「ふふっ…、舞姫さんは素直なのね」
『ち、違…っ!ただ、あたしがしなくてもロビンが捕まえてくれるだろ!』
「はいはい…」
わたわたするハルにクスリと微笑みながら、ロビンは能力でサウスバードを拘束すると難なく一味はサウスバードを手に入れた。
『…っ!?……なんか、胸騒ぎがする…。』
「…?」
『あたし…先帰る!』
「ちょっ、待てよ!?」
ウソップの言葉も聞かず走り始めるハルに一味は慌てて駆け出す。イノセンスを発動せずとも駿足なため一味はどんどん引き離されていった。
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