04
―――バクバク
「なぁハル…」
『……んー?』
―――バクバク
「おまえのちっこい体のどこに入るんだ…?」
『…モグ……胃…』
「いや、知ってるよ!」
『…じゃあ聞くなよ』
クリケットの家で空島出航への前夜祭が行われている。運に運が重なって明日高い確率で空島に行けることになったルフィたちは相当はしゃいでいた。そんな中ハルの食べっぷりにウソップが唖然とする。
「何よ、今さら。ハルはいつもルフィに負けないぐらい食べるでしょ?」
「いや…、そうだけどよ。ルフィは食べたぶん腹が膨れんのに、ハルは変わんねぇから…」
『…モグモグ……なんでだろね…』
依然として食べ続けるハルの元へサンジが踊りながら新しい料理を持ってきた。
「ハルちゅわーん!!…貴女のために愛を込めて作りました」
「うめぇなァ、これ」
「だろ?…ってなんでてめぇが食ってんだ!ルフィ!!」
「飯も静かに食えねぇのかァ」
「全くハラハラするぜェ」
騒がしい一味にマシラとショウジョウがゲラゲラと笑う。ハルは食べる手を止めると、ノーランドの航海日誌を読むロビンの側に寄った。
「…随分食べたみたいね」
『寄生型だから…』
「大変ね、いろいろと」
クスッと微笑むロビンが日誌のページをめくると、今までルフィたちと騒いでいたクリケットが突然言った。
「"骸骨の右目に黄金を見た"」
『……?』
「それがノーランドの最後の日誌だ」
見れば確かに日誌にはそう記されており、それを最後に空白のページとなっていた。
『骸骨の右目?』
首をかしげるハルを含め一味にノーランドの最後を話すクリケット。ハルはその話を聞きながら、ふと思い立ったかのように尋ねる。
『そういえばさ…突き上げる海流(ノックアップストリーム)ってこっから真南にあるんでしょ?どうやってそこに…
「「「あぁ…っ!!!」」」
……え?』
言葉を遮るクリケットたちにハルはきょとんと目をまるくする。
「おまえら今すぐ南の森へ行け!!」
「「「は!!?」」」
「サウスバードっつう鳥を捕まえてこい!変な鳴き声が特徴だ!早く行け!!」
「ちょっ…真夜中に森に行けってのかよ!?」
『どうしたの?…いきなり』
ハルの問いかけにクリケットは網を手渡しながら答える。
サウスバードは体内に正確な磁石を持った鳥であり、今回目的地が海である限り記録指針は使えないこと、だからこそその鳥が突き上げる海流への唯一の導き手だということ。
それを聞いたルフィたちは慌てて網を手に森へと向かう。空島への挑戦も出来なくなると言われハルたちは俄然やる気をだしたのだった。
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