光に導かれて | ナノ

07

 



「おめぇら海賊か?」

「…あぁ」

「懸賞金は?」

「3000万!!」

「3000万…、おめぇが?そんなわけあるかァ!!」

「嘘なんかつくかァ!!」


結局はまた喧嘩を始める二人を仲裁に入るゾロだが、チェリーパイの準備を終えた店主に助けられた。



「……っ…ふん」

チェリーパイを手に店を出ていった大男と入れ違いに、少し肌の黒いまたもや大男が入ってくる。






「麦わらを被った海賊がここにいるかァ?」

一瞬にして騒がしくなる店内。客は口々に「ベラミーだ」と言った。サーキースも入ってくると、あっていう間に客を追い払い、店内に残るのは店主とベラミーの仲間と四人だけになってしまった。



「おれに一番高ェ酒だァ!それとこのちっこいのにも好きなもんを…」

「いいやつだなァ、おまえ!」


疑うことなくドリンクを飲むルフィを見て、ベラミーはにやりと笑うとルフィの頭を掴みそのままカウンターに突っ込んだ。

「……っ…ルフィ!!」


声をあげるナミは目を見開きその光景を見る。ハルは黙ってベラミーを睨み付けた。











「何のマネだァ…下っぱァ」

「その質問には…、おまえが答えろよ」

ベラミーの首筋にはゾロの刀が添えられ、一色触発の雰囲気にナミが慌てて声をあげる。


「ゾロ!ちょっと待ってよ、まだこの街で何にも聞き出してないのよ…っ」

「うるせェ!売られた喧嘩は買うだけだ!!」

その間に立ち上がるルフィに、ベラミーの仲間たちはゲラゲラと笑う。


「立ち上がったぞ、はっはっはっ」

「よォーし…覚悟できてんだな、おまえ」



口許を拭うルフィが睨むとベラミーは以前としてゲラゲラと笑う。ハルは眉をひそめて不快感を露に残ったドリンクを全て飲み干した。


今にも始まりそうな雰囲気にナミがストップをかけながら、店主に話しかける。



「あたしたち空島に行きたいの!何か知らない!?」







その言葉を最後に店内は静まり返った。それを不審に思うもナミは再び店主に尋ねる。


「だから空島に行く方法を知ってたら…っ」

「「「ぶっわはっはっ!!」」」




辺りは一瞬にして爆笑に包まれた。何がおかしいのかわからないルフィたちは眉をひそめながらも、ナミはベラミー一味に訴える。


「だって記録指針はちゃんと空を指してるのよ!!」






一瞬再度静まり返ったかと思うと、ゲラゲラと下品な笑いが起こった。ナミの口調を真似しながらバカにするベラミー一味に、ナミはかぁっと顔を赤くする。



「いつの時代の海賊だ、おまえら!いいか!!海賊が夢見る時代はもう終わったんだ…っ!黄金郷、エメラルドの都、大秘宝"ひとつなぎの大秘宝(ワンピース)"!!この大航海時代に誰よりも強く生き残れるやつがありもしねぇ幻想に振り回され死んでいく…っ!死んだバカはこういわれるのさ…、アイツは夢に生きて幸せだった!!あっはっは…負け犬の戯れ言だァ!!」


ぐっと握られていたルフィの拳が開いたのをハルは見逃さなかった。一度空色の瞳を伏せ次に開いたときには、怒りの色は消えていた。




「そういう夢追いのバカを見てると、おれは虫酸が走るんだァ!!」

同時にルフィを殴るベラミーに、本人は抵抗すらしない。心配するナミにも酒瓶やジョッキが飛んでくる。


『……っ…』

その酒瓶から庇うように立ちふさがるハルの頭から赤い血が流れた。



「……ハル!?」

「ベラミー、店中がショーを期待してるようだせ!」

「お安いごようだぜェ!」


ルフィは立ち上がるとゾロへ言った。



「ゾロ、この喧嘩は絶対買うな…っ」


ルフィの言葉にゾロは刀から手を離す。ハルは流れる血を拭うことなくベラミーを睨み付けていた。






嘲りの街 モックタウン








 

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