05
構えるゾロとナミの武器を現れた腕が払い落とす。
「「……っ…」」
「そういう物騒なもの、私に向けないでって…前にも言ったわよね?」
「あんた…っ、いつからこの船に!」
ナミの言葉に彼女は笑みを浮かべたまま答える。
「ずっとよ、これ貴女の服でしょ?借りてるわ」
「何のつもりよ、BW…っ!!」
ぎゃあぎゃあ騒ぐナミを放ってミス・オールサンデーは勝手に椅子を取りだし座った。
「…モンキー・D・ルフィ、貴方…私に何をしたか忘れてないわよね」
「……?おい、おまえ嘘つくなァ!おれは何にもしてねぇぞ!」
「いいえ…耐えがたい仕打ちを受けました。責任とってね…」
メガホン片手に騒ぐウソップ、マストに背を預けるハルの横に隠れるチョッパー。確実に一味は混乱していた。
「意味わかんねぇやつだなァ!どうしろってんだよ!?」
その言葉ににこりと微笑んだ彼女は平然ととんでもないことを言ってのけた。
「私を仲間に入れて」
「「「はあぁーっ!?」」」
声をあげるルフィたち。サンジだけは目をハートにし喜んでいた。
「あのとき死を望む私を貴方は生かした。私には行く宛も帰る場所もないの」
『………』
「だから、この船に置いて?」
ハルは黙ったままじっと彼女を見る。
「なんだそっか。そりゃしょうがねぇなぁ……いいぞ!」
「「「ルフィ!!!」」」
あきらかに反対する一味にルフィはにししと笑うと、ついこの間まで敵だった相手を悪いやつじゃないと言い切った。
呆れる三人と、喜ぶサンジ。チョッパーは依然としてハルにくっついていた。
「それに…」
『……?』
「私は貴女にも興味があるのよ、ハル・ジュール」
突然名前を呼ばれたハルはきょとんと目をまるくする。
「貴女の使う力…、見たことがないわ。悪魔の実…ってわけじゃなさそうだし、まだ痛むんでしょう?」
『……っ…』
むっとするハルは痛む足で何とか立ち上がり彼女を見た。気丈に振る舞うハルを見てクスッと微笑むミス・オールサンデーの前にルフィやゾロ、サンジが立ちふさがる。
「おまえ!ハルに手ェ出したら承知しねぇぞ!!」
「目的はハルか!」
「美人なお姉様でもハルちゃんに手を出すなら話は別だ…っ」
警戒心を露にする一味にミス・オールサンデーは微笑んだまま、三人の背後に立つハルを見つめた。
「さすが"桜花舞姫"ね…、本当のお姫様みたいに一味に愛されてるわね」
『……"桜花舞姫"?』
「あら、知らないの?」
ふふっと妖艶に笑う彼女にハルは子供のようにむっとしてみせる。
『ねぇ、何のこと?ミス・オール…』
「ニコ・ロビンよ」
『……は?』
「私の名前…ニコ・ロビン」
『………』
黙りこむハルは少し照れくさそうにうつむくと小さな声で呟いた。
『……よろしく、ロビン』
「「「……っ…」」」
「ふふっ…、えぇ…よろしく」
一味がハルの表情に釘付けになるなか、そんな光景にロビンはやっぱり妖艶に微笑んだのだった。
新たな旅と新たな仲間
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